小松製作所、サトーと共同開発でリング部品の個別管理ラベルを導入 照合作業を効率化

2025年9月30日22:23|ニュースCaseHUB.News編集部
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 小松製作所(コマツ)は、修理用セット品の構成部品である小径のOリングやガスケットといったリング状部品について、単品ごとの明細識別を可能にする専用ラベルをサトーと共同で開発し、小山工場での運用を開始した。従来は複数部品をまとめて袋詰めして共通の部品明細リストのみを添付していたが、単品ごとにすることで輸出時の税関対応や修理用セット品管理の高度化への対応を目指す。新たなラベルの導入で、従来のビニール袋での個別包装が不要になることで、コスト削減と環境負荷の低減にもつながった。

 コマツは建設機械・鉱山機械で世界トップクラスのシェアを誇る企業であり、小山工場ではエンジンや油圧機器などの重要部品を生産している。グローバル市場への製品供給を担う同工場では、製品ごとのトレーサビリティや輸出入時の正確な管理が求められており、一つのパッケージにまとめられる修理用セット品の構成部品についても、個別に管理ラベルを貼付する必要性が高まっていた。

 具体的には、補給部品を輸出する際、税関調査が入った場合、修理用セット品について構成部品ごとに部品明細と現品の照合が求められるようになり、各部品に個別のラベルを貼付することが必須となったことが背景にある。しかし、従来は小径のリング形状製品に直接ラベルを貼付することが難しく、ビニール袋で個装した上でラベルを貼付していたため、ユーザー側からゴミ処理の手間が増えるという声も上がっていた。

 そこでコマツは、使用目的やイメージをサトーにヒアリングし、試作提案を重ねることで、小径リング製品に適した専用ラベルを開発した。サトーは、ベースとなった小物用ラベルに対し、ミシン目の追加やディタック加工の微調整を施し、封入・貼付作業に適した仕様に改良。これにより、現場での運用性と生産効率の向上を両立させた。

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単品ごとのラベルのイメージ

 この新ラベルの採用により、小径リング製品へのラベル直接貼付が可能になった。コマツ 部品・リマン推進本部 部品推進部 外川氏は、「私たちのイメージに合致したラベルを迅速にご提案いただけた」と述べ、事前のビニール個装が不要になったことで、「コスト削減と環境負荷の低減につながった」と評価している。

 また、細かなデザイン変更やミシン目、ディタック加工の大きさの変更など、さまざまな要望に対し、サトーが迅速に対応した点も評価の決め手になった。さらに、個装するための工数と副資材が見直され、全体としてコストダウンになったことも導入を後押ししたという。

 コマツは今後、この仕組みを工場内の他部門など他用途での活用も検討していく方針だ。サトーは、今回の取り組みを多品種・小ロット管理が進む製造現場の課題をラベルで改善したモデルケースとし、今後も製造業のDXとトレーサビリティ向上を支援していく考えを示している。

ニュースリリース