象印マホービンは、パナソニック コネクトの頑丈タブレット「タフブックFZ-G2」シリーズを導入した。9月30日、パナソニック コネクトが発表した。物流現場で使用するデバイスを刷新し、高い堅牢性を持つタフブックを採用することで、業務やIT資産管理の効率化、安全性、コストの最適化を達成した。今後は他拠点への展開も視野に入れ、現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を加速させる。
象印マホービンは、炊飯ジャーやステンレスボトルなどを製造・販売する老舗メーカーだ。物流現場では、入荷時の検品、出荷時のピッキング、在庫検索、棚卸しなど多岐にわたる業務でタブレット端末を活用してきた。しかし、従来の他社製コンシューマーグレードの端末では、物流現場での落下や衝撃による破損リスク、バッテリー寿命の短さや寒冷地での充電トラブル、OSアップデートの外部委託による高コストと工数、最新セキュリティパッチの未適用といった課題が顕在化していた。
こうした課題を解決するため、同社は高い堅牢性、長時間駆動とバッテリー交換が可能、Windows OS搭載の3点を必須条件として新たな端末の選定を進めた。その結果、タフブックFZ-G2の採用を決めた。
選定にあたっては、従業員の安全性を最優先に考えた設計が評価されたという。特に、段ボール作業に伴う怪我のリスクを避けるため、手袋を着けたままでも操作できる点が現場からの要望として最も多く、採用の大きな決め手になったとしている。また、本体に搭載された物理ボタンによりバーコードリーダーやカメラを即時に起動でき、商品事故の際の現場保存などが素早く行える操作性も高く評価された。さらに、バーコードリーダーを本体に追加できることで、従来Bluetooth接続していた小型スキャナが不要になり、一台で業務が完結できる利便性も決め手となった。
タフブック導入後の効果として、半年経過時点で故障の報告はゼロとなり、以前は2〜3か月に1台程度のペースで発生していた故障が大幅に減少した。バッテリーの持ちも安定し、8時間の業務時間に対して十分な稼働時間を確保できるようになり、モバイルバッテリーの使用も解消された。
システム管理面では、Windows OS搭載によりシステム管理ツールと連携したアップデート管理やセキュリティ設定、グループポリシーの一律配布が可能となり、管理の負担が大幅に軽減された。また、以前から社用PCとしてパナソニックの「レッツノート」を採用していたため、今回のタフブック導入でモバイル端末の問い合わせ窓口がパナソニック コネクトに一本化できたことも、情報システム部門にとってメリットとなった。
象印マホービンは、東日本配送センターでの導入効果を踏まえ、すでに九州の物流拠点への10台の追加導入を決定しており、西日本の部品管理拠点にも11台の導入を検討するなど、全社的な展開を視野に入れている。経営企画部システムグループの大窪真司サブマネージャーは、「将来的にはAIを基にした需要予測データのリアルタイムでの確認など、タフブックはさらなる活用の可能性を秘めていると感じている。今後はこのタフブックを軸に、現場のDX推進をより一層加速させていきたいと考えている」と語っている。