トヨタ、工場内センサー配置を自動最適化 デジタルツイン活用で設計工数削減

2025年10月9日08:00|ニュースCaseHUB.News編集部
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 トヨタ自動車と名古屋大学発スタートアップのアイクリスタルは、工場内で量産車を無人走行させる車両遠隔制御自律走行搬送システム「Telemotion」で用いるセンサーの最適位置を、3Dデジタルツイン上で自動探索するアルゴリズムを共同開発した。10月8日、アイクリスタルが発表した。従来は人手で行っていたセンサー配置の検討作業が自動化され、設計段階の工数を大幅に削減できるという。今後は他ラインへの展開を容易にし、多様化するニーズへの対応を強化していく考えだ。

 トヨタ自動車は、インフラセンサーを用いた車両測位により、工場内で量産車を無人走行させるTelemotionを開発し、2022年に実用化している。一方、工場内には設備や柱などの障害物、作業者の往来があるため、センサーを新しい工程へ導入する際には、安全性やコストといった多岐にわたるパラメータを考慮した最適な配置検討が必要だった。従来の手法では、これらの検討を人手で行っており、工程設計段階で膨大な工数が発生していた。

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Telemotionを活用した自律走行の様子(出典:アイクリスタル)

 今回のプロジェクトでは、トヨタ自動車の量産工場を忠実に再現したデジタルツイン環境を活用。アイクリスタルが持つ数理最適化手法によって、従来人手で行っていた作業の自動化を実現した。これにより、仮想空間内であらゆるセンサー配置パターンを網羅的に評価できるようになったという。

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デジタルツイン環境で再現したトヨタ自動車の量産工場(出典:アイクリスタル)

 開発した最適化アルゴリズムは、センサーの最適配置を自動的に探索し、センサー台数や工事コストを最小限に抑えつつ安全性を確保する。これにより他ラインへの展開・拡張が容易になるとしている。

 トヨタ自動車車両品質部主任の岩堀健人氏は、「交通事故ゼロ社会の実現に向けたインフラセンサー設置の知見を生かし、デジタル空間上でセンサー配置の最適化を可能とする独自アルゴリズムを開発した。この技術を工場内に適用することで、センサー設計の自動化と迅速な対応を実現し、安全性と効率性の両立に貢献している。今後も技術革新と改善を継続していく」と話している。

ニュースリリース