ニシムラ・ウェル・ビーイングは、在宅医療における情報共有の課題を解決するため、クラウド型コミュニケーションツール「mitoco」とSalesforce画面開発ツール「SkyVisualEditor」を導入した。mitocoを提供するテラスカイが10月9日に発表した。アナログ的な情報管理からの脱却を図り、患者情報の一元管理とリアルタイム共有を実現。業務効率化と迅速かつ正確な顧客対応を可能にし、顧客満足度の向上につなげている。
滋賀県大津市を拠点に地域密着型の薬局を運営する同社は、24時間365日体制で在宅医療に対応するなど、地域医療の質向上に積極的に取り組んでいる。しかし、医療業界特有のシステム環境から、電子薬歴システムがオンプレミス型であることが多く、重要な患者情報も薬局内でしか閲覧できず、外出先からの詳細な情報確認ができない点が課題だった。その結果、手書きのメモに頼らざるを得ず、訪問先から薬局への電話確認や緊急連絡のリアルタイム把握が困難となり、報告業務や訪問対応の負担が大きくなっていた。
この課題は業務上の不便さだけでなく、業務の複雑化による増員や人件費の膨張といった経営の持続性に関わる重大なリスクでもあった。そこで同社は、「情報の一元管理」と「リアルタイム共有」を実現できる仕組みが不可欠と判断した。
情報共有の解決策を模索する中で、Salesforceのカレンダー機能でのスケジュール管理を検討したが、標準機能では効果的な使い方ができなかった。そこで、自社の業務に合う形を模索する中でmitocoに出会った。
mitocoの採用を決めた最大の理由は、メンバーごとのスケジュールを縦軸で確認できる機能により、情報の一元管理が実現し、誰がどこにいるのかが一目瞭然になるなど、実際の業務で非常に使いやすいと感じた点だ。また、他のサービスと比較して、デザイン性と操作性の両方に優れ、Salesforceの強固なセキュリティに守られている点も、同社の業務に最も適していると判断した。
導入時には、現場の声をできる限り取り入れ、業務フローに合うようカスタマイズすることを重視した。代表取締役の西村秀明氏は、「現場でどう使えるのか」を一緒に考えるプロセスを経たことで、スタッフがシステムを「自分たちの道具」として受け入れる土壌ができたと語っている。
mitoco導入後の最も大きな効果は、スタッフの働き方が改善されたことだ。以前は薬局に戻ってから報告書を作成する必要があったが、今では直帰して空き時間にスマートフォンで報告書を作成でき、スタッフからは時間を有効に使えるようになったとの声が挙がっている。これにより、経営者自身の業務負荷も体感で半分程度に軽減された。
さらに、患者やその家族からの満足度も向上した。以前は問い合わせに対し、薬局へ戻って確認する必要があったため対応が遅れることがあったが、現在ではクラウド上で訪問記録を即座に確認でき、その場で迅速かつ正確に回答が可能となり信頼性と安心感の向上につながっている。
SkyVisualEditorは、訪問報告書のPDF出力に活用されている。従来はExcelやWordで作成していた報告書を、SkyVisualEditorを使いワンボタンで出力できるようにした。
同社は今後、このシステムを同様の課題を抱える他の薬局向けにも展開していく方針だ。西村氏は、人材不足に直面する薬局業界の課題を解決するため、DX化を推進して業務を効率化し、スタッフが付加価値の高い業務に集中できる環境を整えることが重要だと述べ、mitocoとSkyVisualEditorはその理想を実現するための重要なシステムだと確信しているとコメントしている。
今回のシステム開発は、mitocoの販売パートナーであるギミックプロジェクトが担当した。同社には介護系事業者の支援実績があり、医療・介護業界特有の課題やニーズを理解している点が導入を進める上で大きな安心材料になったという。