前田道路、データ統合基盤をクラウドで構築 労務管理の工数を即時確認へ短縮

2025年11月11日21:43|ニュースCaseHUB.News編集部
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 前田道路は、迅速で正確な経営判断や事業活動における意思決定を加速させるため、クラウドDWH「Snowflake」とBIツール「MotionBoard」を活用したデータ統合・分析基盤を構築した。11月11日、システム構築を支援したジールが発表した。従来サイロ化されていたデータを統合し、働き方改革につながる労務管理の効率化を実現したほか、今後は実績データから予測分析への展開を目指す。

 創業100周年を迎える前田道路は、道路工事や舗装材の製造・販売を全国規模で展開しており、ITツールの活用やDX化を積極的に推進している。同社は2022年より、オンプレミス環境で運用していた「工事」「合材」「会計」の三つの基幹システムをクラウド環境へ移行しており、「工事」「合材」システムは2024年10月に本番運用を開始した。

 前田道路は、この基幹システムのクラウド化と並行して、迅速かつ正確な経営判断や事業活動の意思決定を加速させるためのデータ活用にも着手した。

 データ活用基盤の構築にあたり、前田道路はクラウド型データウェアハウス(DWH)サービスのSnowflakeにより、サイロ化されていた工事・合材・会計の各システムデータを統合した。さらに、国産BIツールのMotionBoardを導入し、社員が容易にデータ分析できる環境を整備した。MotionBoardは、他社製品と比較して同社の求める要件にフィットする機能が多く、ダッシュボード画面の構成など「痒い所に手が届く」製品であったことが選定理由の一つとなった。

 Snowflakeの選定と提案から、MotionBoardを活用したデータ分析基盤の構築、および現在の運用・技術サポートまでを伴走型で支援しているジールについては、30年以上のBIツール実績と柔軟な対応、プロジェクトメンバーの連携力を高く評価した。

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データ統合基盤の構成イメージ

 データ統合・分析基盤の構築後、前田道路は経営情報の参照や受注案件の分析、働き方改革推進のための休日管理など、さまざまな領域でデータ活用を加速させている。工事システムでは、支店や営業所、工事単位の見積もり、受注状況、出来高などを月単位で集計・可視化できるようになった。合材システムでは、工場ごとの売上、出荷実績、限界利益などを日次で更新・表示でき、現場の意思決定スピードが大幅に向上した。

 また、働き方改革の一環として2025年4月からの完全週休二日制の導入に際し、休日出勤や振替休日の取得状況の可視化にもMotionBoardを活用している。従来、ワークフローシステムと勤怠管理システムが分断されていたため、人事部門の担当者が都度データを抽出し人手で集計しており、レポート作成に約一週間を要していた。新基盤では、必要なデータをSnowflakeで集計しMotionBoardでグラフやチャートとして分かりやすく表示でき、休日出勤に関する状況も即時確認可能となり、レポート作成工数を大幅に短縮し労務管理の効率化を実現した。これにより、各部署・支店の休日出勤率や代休取得率を即時に把握できるため、社員の働き方に対する意識改革にもつながっている。

 前田道路では、データ統合・分析基盤を業務改革の中核と位置付け、今後も継続的に強化を進める方針だ。今後は、既存データのさらなる活用やRPA導入による効率化、実績データから予測分析への展開を計画しており、ジールの継続的な伴走支援のもと、データ活用をさらに加速させるとしている。

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