エミレーツ・フライト・ケータリング、インフォマティカ導入でデータ基盤強化

2025年11月13日23:42|ニュースCaseHUB.News編集部
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 エミレーツ・フライト・ケータリング(EKFC)は、製品、サプライヤー、顧客データ間の分断を解消するため、インフォマティカのマルチドメインクラウドマスターデータ管理(MDM)SaaSプラットフォームを採用した。1日あたり22万5千食以上を提供する大規模なケータリング運営において、業務効率、透明性、持続可能性の向上を目指し、デジタル基盤を強化する。クラウドMDM SaaSソリューションの導入により、顧客ニーズへの対応力が高まり、パーソナライズされたサービス提供のための深いデータ理解が可能になるという。

 エミレーツグループの基幹事業であるEKFCは、世界有数の航空ブランド向けにケータリングを提供する大手事業者だ。同社が運営する施設は、世界で最も複雑なケータリング施設の一つとされており、調達、在庫管理、物流を緊密に連携させることで、高品質の食事を時間通りに提供している。

 EKFCは、デジタルインフラの近代化と業務効率化を目的に、インフォマティカのMDM SaaSプラットフォームを基盤としたサプライヤー向けセルフサービスポータルを導入した。これにより、300社以上のサプライヤーネットワークにデータガバナンスを適用したワークフローを提供し、データ入力時点での精度を大幅に向上させる。また、調達サイクルを直接加速させることが可能になる。

 今回の変革を通じて、EKFCはサプライヤーと社内チームが単一のクラウドプラットフォーム上でシームレスに連携できる体制を構築した。これにより、在庫管理の改善と柔軟な生産計画が可能になり、精密さと大規模なスケールが求められる事業運営において不可欠な俊敏性を獲得した。

 同社は、AIを活用したクラウドMDM SaaSソリューションの導入により、全社および数百のサプライヤーがアクセス可能な、信頼性の高い統合データ基盤を構築できたと評価している。EKFC IT情報システム部門バイスプレジデントのTad Nadolny氏は、「正確なリアルタイムなデータが、あらゆる食材、レシピ、食事、意思決定の基盤である」とし、「AIファーストかつクラウドファーストモデルへの移行により、データガバナンスとサプライヤー連携を強化し、業務の効率化、可視性の向上、持続可能性の取り組みの加速を実現する」と述べている。さらに、統制されたマテリアルオンボーディングワークフローとサプライヤー向けセルフサービス機能は、高水準のデータ品質を維持するための鍵であるとした。

 EKFCは今後、完全な透明性と迅速な対応を実現するサプライチェーンの構築を構想している。具体的には、製品代替やリコールに関する情報の即時更新、廃棄物を最小限に抑えるスマートな在庫管理、AIによる予測分析の実現を目指す。最終的な目的は、よりスマートで持続可能かつレジリエンスが高いケータリング運営を構築し、将来に備えることだとNadlonny氏はコメントしている。

 なお、EKFCはすでに月間300トン以上のリサイクル資材を再利用し、8000枚のソーラーパネルでクリーンエネルギーを創出している。データ精度とトレーサビリティの向上は、食品廃棄物の削減や責任ある原材料調達のトレーサビリティ強化に貢献すると見ている。

ニュースリリース