住友理工は、貿易管理クラウド「Shippio Cargo」と輸送データ分析ツール「Shippioインサイト」を採用した。両サービスを提供するShippioが12月11日に発表した。複雑なサプライチェーンでの貿易業務を一元管理するとともに、物流データを分析して精緻な輸送リードタイムを算出することで、データを基にした在庫最適化を目指す。
住友理工は、自動車用防振ゴムなどで世界トップクラスのシェアを誇るグローバル・システムサプライヤー。世界20カ国以上で事業を展開しているが、従来は貿易業務の管理ツールや情報の保管場所が分散しており、業務が属人化していた。
特に在庫管理の重要な指標となる船便の輸送リードタイムの算出で課題を抱えていた。従来は過去の実績と担当者の経験や勘に基づく計算式で算出していたため、遅延リスクを過剰に見積もってしまい、一部の品目で在庫過多になる傾向があったという。昨今の不安定な物流情勢の中で、経験則だけでは在庫の最適化が困難になっていた。
そこで同社は、業務効率化とデータドリブンな意思決定への転換を図るため、Shippio CargoとShippioインサイトの導入を決めた。Shippio Cargoは貿易実務の可視化と効率化を支援するクラウドサービスで、Shippioインサイトはその有料オプションとして物流データを可視化・分析するBIツールだ。
新システムの活用により、貿易案件の進捗状況や船荷証券(B/L)、インボイスなどの関連書類、関係者間のコミュニケーションをクラウド上で一元管理する体制を構築した。これにより情報の検索性が高まり、事後調査などの対応工数を削減できるほか、業務プロセスの標準化による生産性向上を見込んでいる。
また、蓄積した実績データをShippioインサイトで分析することで、実態に即した精緻なリードタイム設定を実現したい考えだ。従来のように遅延の最大日数を過剰に評価することなく、適正な在庫水準を維持することでコスト削減につなげる。さらに、船会社ごとの遅延傾向や実績データを可視化し、定量的な評価に基づいて最適な輸送サービスを選定できる環境も整えた。
加えて、洋上在庫(輸送中の在庫)をリアルタイムに可視化できるようになったことで、海外現地法人を含めたサプライチェーン全体のマネジメントを強化する。欠品リスクの回避と在庫圧縮の両立を図りながら、データに基づいた強靭な物流戦略を推進していく方針だ。