向井珍味堂は、製造部門の管理体制向上や管理部門の業務負荷削減を目的に、アイルが提供する食品業界向け販売・在庫・生産管理システム「アラジンオフィス for foods」を採用した。1月21日、アイルが発表した。インボイス制度への対応と業務の属人化解消を図るとともに、外部の電子請求書発行システムや入金消込システムと連携させることで、バックオフィス業務の劇的な効率化を図った。
向井珍味堂は1947年創業の粉末食品メーカーで、きな粉や香辛料、青のりなどの製造・販売を手掛けている。同社では従来、独自開発の販売管理システムを使用していたが、インボイス制度への対応において、開発会社から法改正への完璧な対応を保証できないと指摘されていた。また、在庫や生産管理をExcelや紙で行っていたため業務が属人化し、特定の担当者への負担やミス、遅延のリスクが生じていた。
システムの選定にあたり、インボイス制度への対応に加え、食品メーカー特有の商習慣に適した標準機能を備えている点や、自社ならではの特殊な業務に対応できるカスタマイズ性を評価した。また、顧問税理士からの推薦があったことも後押しとなり、2023年に導入を決めた。
導入プロセスでは、基幹システムであるアラジンオフィス for foodsを中心に、ラクスが提供する電子請求書発行システム「楽楽明細」およびR&ACが提供する入金消込システム「V-ONEクラウド」を連携させた。
システム刷新により、製造部門では意識改革が起きた。これまでは現場が作成した手書きの帳票を管理部門が集計・入力していたが、新システムの導入により製造担当者が自ら実績を入力する運用に変更した。自分たちの入力が在庫や発注に直結することを実感したことで、担当者の責任感が高まり、製造部門が主体的に数字を管理する体制へ移行した。副次的な効果として、半年に一度実施する棚卸の作業時間も大幅に短縮されたほか、ロットや賞味期限の管理がデジタル化され、顧客からの問い合わせにも即座に回答できるようになった。
管理部門における効率化も顕著だ。月間約300件に及ぶ請求書の郵送業務は、電子化により約8割が不要になった。従来は3人がかりで2時間要していた作業が、現在は1人で1時間足らずで完了している。切手代などのコストも月額4万円以上削減された。入金消込作業についても、AIの学習機能を備えた連携システムの活用により、1日かかっていた作業が数時間に短縮された。作業の簡易化により、入社1年未満の社員でもベテラン社員と同等のスピードで処理できるようになった。
向井珍味堂管理部部長の星氏は、製造部門が自らシステムを使い、在庫や発注への責任感を持つようになったことで、主体的な管理体制に変わったと評価している。また、業務課の岡本氏は、印刷やハンコ承認などの作業がシステム内で完結し、月末の作業が大幅に短縮されたことで他の業務に時間を充てられるようになったと述べている。
今後は、現在はアナログな部分が残っている原価管理をシステムで可視化し、利益体質な組織づくりの基盤にする考えだ。向井珍味堂代表取締役の髙見氏は、システム導入で部署間の情報共有と意思統一が可能になったとした上で、システムを活用して利益を上げ、事業を成長させることで、従業員の生活を豊かにできる会社を目指したいとしている。