グッドスマイルカンパニーは、Google Cloudのデータキャプチャ/レプリケーションサービス「Datastream」を活用したデータ分析基盤を構築し、売上データのリアルタイム分析と可視化を実現した。構築を支援したクラウドインテグレーターのアイレットが明らかにした。
同社は24年2月にECサイトをフルリニューアルし、ユーザー体験の向上を実現するとともに、データ収集・分析環境を強化したが、売上データは日次単位でしか確認できなかったため、よりリアルタイムに近いかたちで把握し、迅速な意思決定や改善につなげたいと考えていた。要望を受けたアイレットは、Google Cloudのマネージドサービスを活用して分析基盤を改修するとともに、ダッシュボード画面を設計、構築した。
当初の構成は、スケジュール実行でRDBサービスの「Cloud SQL」に保存したデータをオブジェクトストレージの「Cloud Storage」にエクスポートし、サーバーレスでイベント駆動型の関数を実行できる「Cloud Functions」を使ってDWHの「BigQuery」にデータを投入する仕組みだった。これをリアルタイム性が確保できる仕組みに変えるべく、Datastreamを導入してBigQueryにシームレスにデータを複製できるようにした。
また、もともとCloud SQLはプライベート環境に配置しており、Datastreamを利用したストリーミング通信にはプロキシサーバーの追加などが必要で、構成が複雑になり、サーバーの運用コストが発生するという課題があった。その解決策としては、Cloud SQLのリードレプリカ(複製された参照専用のDB)を用意し、「パブリック環境でクライアント証明書による暗号化通信、IPアドレス制限を行うことで、セキュアな環境を確保しながらシンプルな構成に変更し、運用の最適化を実現した」(アイレット)としている。
分析用ダッシュボードの構築では、BIツールの「Looker Studio」を採用。導入費用やランニングコストが低く、複雑な管理が必要ない点を評価したという。グッドスマイルカンパニーは分析データを可視化して売上情報や顧客の傾向などを社内で広く共有し、商品企画や業務の効率化、ECサイトの改善などに役立てたい考えだ。