岡山県美咲町は、地域福祉の向上を目的に、多職種連携プラットフォーム「IIJ電子@連絡帳サービス」を採用した。3月30日、同サービスを提供するインターネットイニシアティブ(IIJ)が発表した。2025年10月から運用を開始しており、岡山県内での導入は初の事例となる。行政と福祉、介護などの専門職が組織の枠を超えて情報を共有し、複雑化する住民課題に対して迅速かつ的確な支援を行える体制を整える。
美咲町は岡山県の中央部に位置し、子育てと介護が同時に発生する「ダブルケア」や、80代の親が50代の子を支える「8050問題」など、従来の分野別支援では対応が難しい課題に直面している。こうした背景から同町は、属性を問わない相談支援や参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に行う「重層的支援体制整備事業」を推進してきた。
取り組みの過程で課題となったのが、行政と関係機関、さらには行政内部の組織間における効率的な情報共有だ。これまでは組織の枠組みを超えた連携において、支援者間でのコミュニケーション基盤の整備が急務となっていた。そこで美咲町は、2025年に策定した事業実施計画に基づき、現場での検証を経てIIJ電子@連絡帳サービスの正式導入を決めた。
IIJ電子@連絡帳サービスは、医療、福祉、介護、行政の専門職をつなぐプラットフォーム。医師や看護師、薬剤師のほか、介護ヘルパーやケアマネジャーが、在宅医療を受ける高齢者や子どもの情報をリアルタイムで共有できる。2017年のサービス開始以来、全国76市区町村で2万7000人以上が利用する実績を持つ。
美咲町は、同サービスを地域で支え合うための情報連携基盤として活用している。支援関係者が本人の想いや支援内容、経過などの情報をスムーズに共有することで、支援の方向性や役割を整理しやすくなった。言葉による従来の伝達に加え、デジタルツールを介した迅速な連携を図ることで、より本人に寄り添った丁寧な支援の実現を目指している。
美咲町重層支援センターは、令和7年度より「支援の層を重ね、想いを重ねてより丁寧な支援へ」というスローガンのもと、重層的支援体制整備事業に取り組んでいる。美咲町電子@連絡帳の活用について、支援者同士の連携を速やかに図る上で効果的であり、今後も同事業を推進するために活用していく。今後は、町内デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するツールとしての活用も期待されている。