タチエスは、設備保全業務の効率化とデータ活用の高度化を目的に、M2Xが提供する設備保全クラウド「M2X」を採用した。4月14日、M2Xが発表した。現在は国内4拠点での本格運用を開始しており、蓄積したデータを将来的な予知・予防保全やMTBF(平均故障間隔)・MTTR(平均修理時間)の分析に活用していく。
タチエスは、独立系の自動車シートメーカーとして開発から生産までを一貫して手がけている。高級車から軽自動車まで幅広い車種のシートを供給し、世界9カ国に53拠点を展開するグローバル体制を敷く。
同社では従来、設備保全の記録や点検、予備品の管理を紙やExcelで行っていた。2020年に設備保全を統括する組織を統合したが、それまでは工場ごとに独自の運用や管理ツールが定着していたため、拠点間での情報連携やデータ共有が困難な状況にあった。
2023年からは全社的なDX推進の一環として、他社の保全システムを導入してペーパーレス化を進めてきた。しかし、そのシステムは記録項目の自由度が低く、自社が求める粒度で情報を蓄積することが難しかった。また、ダッシュボードの形式が固定されていたため、管理者が求める軸でグラフを作成できず、データの活用に限界を感じていた。さらに、使用できる端末やOSに制限があり、現場で画面表示が崩れるなどの課題も生じていた。
こうした背景から、タチエスは「システムに運用を合わせる」のではなく「運用にシステムを合わせる」環境を目指し、M2Xの導入を検討した。選定にあたっては、従来の自社帳票に合わせて入力項目や呼称を柔軟に設定できる点や、ダッシュボードの集計軸を自由にカスタマイズできる操作性を評価した。また、端末を問わず操作できるシンプルなユーザーインターフェースや、初期設定の負担が少なくスムーズに切り替えができる点も採用の決め手となった。
トライアル期間中には、要望に対するM2X側の対応スピードも確認した。数週間かかることが一般的だった改善が即日レベルで実現したほか、在庫管理に関する新機能がタイミングよくリリースされたことで、将来の拡張性に対する期待感が高まった。スタートアップ企業に対する不安もあったが、現場スタッフが使いやすさを支持したことや、自動車業界での導入実績が増えていたことが信頼につながった。
現在は国内の主要拠点で運用を軌道に乗せるフェーズにあり、現場からは操作の分かりやすさや、チャットによる迅速なサポート体制が評価されている。今後は、国内拠点での成果をもとにグループ会社や子会社への展開を検討する。さらに、タイやメキシコといった海外拠点への導入も視野に入れており、多言語対応などの機能拡充に期待を寄せている。
将来的には、M2Xを基幹システムとAPI連携させ、生産計画や製造データと保全データを統合した高度な分析環境を構築する構想だ。タチエス生産技術総括管理部設備管理企画課の川口貴洋氏と濱畑裕之氏は、現場スタッフが使いたいと言ってくれたことが導入の大きな後押しになったと振り返る。今後は、蓄積されたデータを活用して予知・予防保全へと進化させ、保全戦略の高度化に取り組んでいきたいとしている。