青森市、モビリティデータ連携基盤を構築 路線バスの遅延解消や最適化を推進

2026年5月8日15:15|ニュースCaseHUB.News編集部
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 青森市は、日々蓄積される膨大な路線バスの乗降データや人流データを可視化・分析できる「モビリティデータ連携基盤」を構築した。システム開発と提供はSWAT Mobility Japanが担当した。5月7日、同社が発表した。客観的なデータに基づいたダイヤ改正や交通計画の立案を支援し、公共交通の利便性向上と路線の合理化を両立させる。

 青森市では現在、路線バスの乗務員不足が深刻化しており、利便性を維持しながら路線の合理化を進める必要に迫られている。しかし、これまではダイヤ改正や路線再編の際にモビリティデータを十分に活用できておらず、需要の実態と現場の感覚に乖離が生じていた。また、施策実施後にその効果を迅速かつ正確に評価する仕組みがなかったことも課題となっていた。

 今回構築された連携基盤は、市内を走る路線バス、コミュニティバス、オンデマンド交通の乗降データと運行計画データを統合し、人口分布や人流データを組み合わせて分析できるものだ。各路線の系統や便、券種などを考慮した多角的な分析を容易に行えるほか、地図上へのデータ可視化機能により、誰もが運行課題を特定して改善策を提案できる環境を整えた。

 特に、豪雪地帯である同市特有の課題である冬季のバス遅延についても対策を講じた。新たに系統別の遅延状況を可視化する機能を備えたことで、冬季の運行実績データを踏まえた現実的なダイヤ作成が可能になる。さらに、公共交通のカバー状況を時間帯別に可視化する仕組みにより、運行頻度に応じた交通空白地帯の把握も容易にした。

 データ収集の精度向上に向け、AIカメラを活用した実態調査も実施した。同市のバス利用者は約50%が現金等の利用者と推定されていたが、これまではICカードデータのみしか取得できていなかった。今回、車内にAIカメラを設置して非IC利用者の動向を把握し、そのデータを既存の乗降データと統合することで、より実態に近い利用動態の可視化に成功した。

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モビリティデータ連携基盤を用い分析した公共交通のカバー状況

 すでに本基盤を活用した施策の実行も始まっている。市内の西部地区では、人流データと路線バスの需要分析に基づき、オンデマンド交通への代替可能性を検証するシミュレーションを実施した。また、分析結果を市民に分かりやすく伝えるための広報資料も作成し、中心市街地からのアクセス性や運行頻度といった路線の特徴を周知している。

 今後は、本基盤から得られる観測データを交通に関わる関係者間で共有し、共通認識を持って議論できる環境を構築する。SWAT Mobility Japanの提供するルーティング・アルゴリズムや分析ノウハウを活用し、持続可能な地域公共交通ネットワークの形成を目指す。


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