日本調剤は、調剤薬局における患者体験の向上と業務効率化を目的に、アバターやCGエージェントを活用した無人受付および薬局内遠隔服薬指導の実運用を行う「スマート薬局」実証プロジェクトを実施した。5月29日に、共同研究に参画したMG-DXが発表した。実運用に基づく研究論文の公開に伴い、高齢層を含む幅広い年代での受容性や、患者自身による操作完了率の変化などが報告された。
日本調剤は全国で調剤薬局を展開しており、店舗業務の負担軽減や人員配置の最適化、患者の待ち時間短縮と利便性向上を目的とした薬局DXの取り組みを進めている。本プロジェクトは、MG-DX、大阪大学大学院基礎工学研究科、サイバーエージェントのAI Labとの共同研究として、日本調剤の薬局店舗で実施された。
検証では、無人受付と遠隔服薬指導の導入効果と運用上の課題について、患者アンケート、来局時のサポート状況の観察、従業員へのインタビューを通じて評価した。アバターなどを活用した無人受付の実運用を対象とする研究論文の公開は国内初としている。
調査結果では、無人受付、遠隔服薬指導ともに、導入初期と比較して後期にかけて利便性や満足度に関する評価が上昇した。年齢層が高くなるほど評価は低下する傾向が見られたものの、全体として一定の受容が確認された。無人受付では待ち時間の短縮、遠隔服薬指導では対面に近い形で説明を受けられる点などが評価項目として挙げられている。
操作面では、利用者の習熟や運用改善に伴い、患者自身で手続きを完了できる割合が増加した。スタッフによる物理的な操作補助が不要だった割合は、無人受付で51.5%から85.7%へ、遠隔服薬指導では全利用者平均で12.5%から63.2%へと上昇した。これにより、薬局スタッフのサポート業務の一部が軽減され、調剤業務などへの集中につながる可能性が示された。遠隔服薬指導を担当した薬剤師からは、対面と比較した運用上の違いに関する意見も挙がっている。
一方で、運用定着に向けた課題も明らかとなった。高齢者や機器操作に不慣れな利用者に対しては、導入後も一定の補助が必要な場面が残った。また、無人受付や遠隔対応の導入により、操作支援や書類確認、例外対応といった新たな業務が発生することから、役割分担や運用ルールの整備が求められるとしている。加えて、個人情報の表示に対する不安や音声環境など、プライバシーや利用環境に関する改善点も指摘された。