ダイキン工業は、人材戦略の実行基盤として人材データベース「DAIKIN People」を世界約50の国と地域、180拠点以上で本格稼働した。7月2日、導入を支援したフォーティエンスコンサルティングとSAPジャパンが発表した。国内外に分散していた人材データを連携・統合して一元化し、収集・更新プロセスを効率化する。これにより、グループ全体での最適配置や経営幹部の計画的な育成、人的資本情報の開示といった人事施策の実行を加速させる考えだ。
ダイキン工業は空調事業を主軸にグローバル展開を加速しており、世界170以上の国や地域で事業を運営し、グループ従業員数は約10万人規模にのぼる。空調事業は国や地域によって気候や住宅様式、法規制などが異なるため、地域特性に応じた開発や生産、販売体制の構築が求められる。こうした環境下で人材を適時に確保・配置・育成することが不可欠となっていたが、従来は人材データが各拠点にさまざまな形式で散在しており、一元的な把握や戦略的なデータ活用が難しいという課題があった。
こうした課題を解決するため、同社はSAPが提供する「SAP SuccessFactors」をベースに新データベースを構築した。対象は日本国内の約11000名と、中国、アジア、欧州、北米・中南米などの海外グループ会社における部長級以上の約1000名だ。システム構築にあたっては、フォーティエンスコンサルティングが構想検討段階から概念実証を経てシステム本構築、国内外への展開までを一貫して伴走し、SAPジャパンはグローバルでのスケールに資するアーキテクチャや運用設計の手法を共有して支援した。
同システムでは、社員の異動や昇格などの発令情報のほか、スキル、資格、キャリアの希望、育成の方向性といった情報を一元管理する。上長は部下の情報を役割に応じた閲覧権限のもとで必要な時に参照できる。また、部下の育成の方向性や対話内容を記録・蓄積できるため、所属長が変更になった場合でも過去の情報を引き継げる。
データ品質の維持と運用効率化に向けては、マスタ統合やコードの標準化、重複排除、更新ワークフローなどのデータガバナンスを整備した。従業員本人が業務の節目や個人事情の変化に応じて随時情報を更新できる仕組みを整え、年1回の更新を必須とすることで、自己成長の記録や海外勤務などのチャレンジ意向を継続的に蓄積する。
蓄積された最新データに基づき、年齢構成や男女比率といった組織の状況を即座に把握できるほか、特定の業務経験や保有資格など複数の条件を掛け合わせた人材検索も行える。これにより、事業ニーズに応じた候補人材の抽出が容易になり、最適配置や育成計画の検討を支援する。