ポートランド国際空港、設計施工の連携で木製大屋根建設と炭素削減を両立

2026年8月26日09:00|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ポートランド港湾局が運営するポートランド国際空港(PDX)は、ターミナル・コア再開発プロジェクト(TCORE)においてAutodeskの設計・施工ソリューション群を採用した。8月25日、Autodeskが発表した。関係者間でのデータ共有と可視化により、大規模な木製屋根の精密施工や建設時の二酸化炭素(CO2)排出削減につなげた。

 PDXは木材や植物、自然光を取り入れた空間設計を特徴とする空港だ。旅客収容能力を2倍に拡大するTCOREプロジェクトでは、空港を通常稼働させたまま数十年にわたり整備されてきた既存インフラと調整しつつ、数百社に及ぶ関係者間の連携を円滑化することが求められていた。

 プロジェクトチームは、既存施設と新設計画を高精度にモデル化するため、BIMソフトウェアのAutodesk Revitを採用。さらにリアリティキャプチャソフトウェアのAutodesk ReCap Proを活用し、現地の現況データをモデルに取り込んで新旧構造の取り合いを可視化した。初期段階から詳細な3次元モデルを提示できたことで、発注者であるポートランド港湾局をはじめとする関係者間の認識統一と迅速な意思決定を支援した。

 施工段階では、関係者がリアルタイムに情報へアクセスできる共通環境としてクラウドプラットフォームのAutodesk Formaを利用。設計を担当するZGF Architectsや施工を主導するSkanskaとHoffman Constructionの共同企業体(JV)など、複数の組織が単一の情報源を共有する体制を整えた。これにより部材の干渉を早期に発見し、最新データに基づく作業調整が可能となった。

 約3万6000平方メートルにおよぶ大規模なマスティンバー(大断面集成材)屋根の架設では、わずか34本の柱で構造全体を支えるため、製造業水準の精密な管理が不可欠だった。チームは共通モデル上で部材の事前製作から輸送、吊り上げ手順までを事前シミュレーションし、米連邦航空局(FAA)や航空管制官との調整を円滑に進めた。

 設計モデルは環境負荷の低減評価にも活用された。エンジニアリング企業ArupがRevitモデル上の複雑な部材データを計測・分析した結果、新設部分で22%のエンボディドカーボン(建築資材の製造・輸送・施工に伴う炭素排出量)を削減し、既存部分の再利用を含めると66%の削減効果を算定した。

 Skanskaのシニア・バイスプレジデント兼アカウントマネージャーを務めるジョー・シュナイダー氏は、共通環境の活用によって意思決定が全体に与える影響を把握できるようになり、高い透明性と連携性をもってプロジェクトを推進できたと評価している。今後は最終段階の完了に向け、デジタル基盤を軸とした安全かつ確実な運用継続を目指す。

ニュースリリース