前田建設工業は、九州支店の全現場でMetaMoJiの建設現場向け施工管理アプリ「eYACHO」を活用した情報共有基盤を整備した。8月26日、MetaMoJiが発表した。支店長から協力会社の職長まで全員が利用する体制と工務センターによる遠隔支援を組み合わせ、現場技術者が品質や安全管理などのコア業務に専念できる環境を整えた。
1919年創業の前田建設工業は、土木や建築事業を中核とする総合インフラサービス企業。同社では10年前にタブレット端末とeYACHOを全社へ展開し、施工管理業務のデジタル化を推進してきた。一方で、品質管理の高度化に伴う工事写真の増加や日々の帳票作成、ITツールの権限管理といった現場外でも対応可能なノンコア業務が増加し、施工計画の検討や安全確認といった本来注力すべきコア業務の時間が圧迫される構造的課題を抱えていた。
こうした課題に対し、九州支店では福岡市天神地区の大規模都市開発プロジェクトなどでeYACHOの定着を進めてきた。支店長から現場監督、協力会社の職長まで全員にアカウントを付与し、紙の帳票や図面を介さない運用を確立。現場での巡視メモ作成や朝礼での図面共有、作業計画書の直接提出などに活用し、情報の即時共有を図っている。
さらに同社は、関西支店が統括する関西工務センターとの連携による遠隔分業体制を構築した。工務センターが職長用端末の初期設定やフォルダ構成の整備を一括代行するほか、事前の電子黒板作成や撮影写真の日次帳票化、工種別写真台帳の作成を遠隔で支援。九州支店では、工務センターが作成した写真台帳を支店内のシニア技術スタッフが確認し、現場監督が承認機能を使ってダブルチェックする体制を整えた。
一連の取り組みにより、現場技術者から雑務やノンコア業務が切り離され、品質や安全を担保するための計画や判断といった本質的な業務に集中できる時間が創出された。また、全社統一ルールとノートURLの活用により、データを探す手間も解消された。九州支店建築部建築工務グループ工務チーム長の水野秀崇氏は「離れていても同じ画面を共有しているため要点が確実に伝わり、無駄な時間なく次に進めるのが強みだ。現場監督が現場での時間を確保できる仕組みになった」としている。
前田建設工業では今後、工務センターによる遠隔分業支援の対象業務を拡大するとともに、外部の設計管理者との情報共有などにもeYACHOの活用を広げ、現場DXをさらに推進する計画だ。