ダイハツ工業(ダイハツ)の滋賀(竜王)工場第一製造部UE課は、スタディストが提供するAIマニュアル「Teachme Biz」を活用し、保全業務の技能伝承と現場教育の標準化を開始した。8月28日、スタディストが発表した。直近約15年で保全人員が約75%減少する中、既存の作業要領書などを順次動画化することで、場所や時間を問わず自己学習できる環境を整備し、人材育成の加速を図る。
ダイハツは環境変化への対応や付加価値向上を目的にDXビジョンハウスを策定し、ボトムアップとトップダウンの双方からDXを推進している。滋賀(竜王)工場第一製造部UE課でも専任組織「チームDX」を立ち上げ、製造現場の課題解決に取り組んできた。
同課では、保全人員の急減による技術者の空洞化が進み、技能伝承が難しくなっていた。限られた人員で突発的な故障に対応する事後保全に追われると、定期点検などの予防保全を完遂できないだけでなく、新人育成の時間確保も困難になり、人材の定着に課題を抱えていた。また従来の教育手法は紙ベースの手順書が中心で、工具の使い方やボルトの締め付けといった細かなニュアンスを文字や静止画だけで伝えるのが難しく、指導者の負担となっていた。工場内に在籍する外国人従業員への翻訳対応も負担だった。
こうした課題の解決に向けて複数のツールを比較検討した結果、Teachme Bizの採用を決めた。動画一本を丸ごと編集するツールと異なり、AIによって作業単位で自動分割でき、修正や更新が手軽に行える点を評価した。さらに、動画とテキストを組み合わせた視覚的な分かりやすさや、外国人従業員にも展開しやすい多言語対応機能、雇用形態を問わず現場で閲覧しやすい設計なども選定の決め手となった。
同課では現在、熟練技能者が持つ溶接技術や特殊な技法をアクションカメラなどで撮影し、AIによる文章アシスト機能を活用しながら動画マニュアル化を進めている。基本動作訓練や作業要領書も動画化することで、新入社員の理解スピード向上と指導者の負担軽減を図っている。多言語対応機能の活用により、言語の壁を越えた技術指導の効率化も進める。
ダイハツの担当者は「直感的に伝わる動画マニュアルが簡単に作れるだけでなく、AIが文字起こしや構成をアシストするため作成ハードルが大きく下がると感じた。若手や外国人従業員の理解向上と指導者の負担軽減に手応えを感じている。今後は保全業務にとどまらず、製造の組み立てラインにおける作業手順書などへも活用範囲を順次広げていきたい」としている。