兼松エンジニアリングは、部品倉庫においてサトーのウェアラブル音声ナビゲーションシステム「VoiSol Smart」を採用し、本格稼働させた。9月9日、サトーが発表した。約2000種の生産用部品を対象とする作業を標準化し、属人化の解消やピッキング精度の向上につなげている。
兼松エンジニアリングは高知県高知市に本社を置き、特殊車両や環境整備機器の開発・製造を手がけている。同社の部品倉庫では、自社の組立工場に向けた生産用部品や既存ユーザーの修理用部品を保管・出荷している。
従来のピッキング作業では棚に部品名が表示されておらず、熟練した作業者が自身の記憶を頼りに該当する棚を探す属人的な手法をとっていた。そのため、経験の浅い作業者は熟練者から指示を受けながら作業せざるを得ず、指示待ちやピッキングミスが頻発していた。ミスが発生した際の再作業には数時間をロスすることもあった。さらに、ピッキング作業の習熟には半年以上の教育期間を要することに加え、部品の保管場所を容易に変更できない点も課題となっていた。
こうした課題を解消するため、兼松エンジニアリングは現場作業の標準化に向けた検討を開始した。検討段階では電子ペーパーの活用も候補に挙がったが、定期的な電池交換や個別設定に手間がかかる点が懸念された。一方、VoiSol Smartは2次元コードを印字したラベルを棚札として貼るだけで運用でき、コストを抑えられる点を評価。さらに音声ガイダンスや誤操作時の警告音機能を現場作業者が高く評価したことから採用を決めた。役員からの評価も高く、当初計画していた300品目から対象を2000品目に拡大して運用を開始した。
VoiSol Smartは、スマートフォンの画面表示と音声ガイダンスを用いて作業者を対象の棚や部品へ誘導するシステムだ。作業者は画面に表示される棚位置や色、音声ガイダンスに従って対象の棚へ移動する。複数の注文を同時に処理する際は出荷先ごとに色分けして案内し、棚札の2次元コードを読み取って対象部品と保管場所を照合する。誤操作が発生した際には警告音で通知するため、経験の浅い作業者でも迷わず正確に作業を進められる環境を整えた。
同システムの稼働により、作業者が部品の棚配置を記憶する必要がなくなり、新人や繁忙期の応援社員でも即日でピッキング作業に対応できる体制が整った。ピッキング精度は向上し、ミスはほぼゼロになった。棚卸し業務においても、実在庫をカウントしたデータと理論在庫との照合をシステム上で完結できるようになり、作業スピードと精度が高まった。
また、作業の標準化によって人員配置の見直しも進んだ。従来は正社員3名と派遣社員3名で担っていたピッキング作業を、現在は派遣社員を中心とする体制へ移行している。これにより、正社員は出荷前検品などのコア業務へ注力できるようになり、誤出荷のリスク低減や他業務へのリソース再配分が進んだ。その結果、正社員1人あたりの残業時間を月間約10時間から20時間に削減した。
兼松エンジニアリング部品部WEBサポート課チーフの森尾涼氏は、電子ペーパーと比較してラベルとインクリボンの数円にコストを抑えられたことや、試験利用した作業員から音声ガイダンス機能が圧倒的な支持を得たことが決め手になったと振り返る。今後も標準化された倉庫作業基盤を生かし、業務の効率化と品質向上を推進していく。