大分県別府市は10月1日、市公式アプリ「ベっプリ」の提供を始めた。システム基盤には、電通総研の自治体DXソリューション「CIVILIOS(シビリオス)」の統合アプリ基盤「CIVILIOS スーパーアプリ」を採用した。同日、電通総研が発表した。まずは一部機能を先行提供し、行政手続きの電子化や生活情報の一元化、地域のインセンティブポイント「ゆけポ」などを順次拡充する。市民の利便性を高めるとともに、観光客の消費を地域経済へ還元する狙いだ。
別府市は約11万人の市民が暮らし、年間約800万人の観光客が訪れる生活・観光都市である。自治体では、行政手続きや住民向けサービスが分散していること、個別アプリの維持費が高止まりしやすいこと、単年度の公費に依存しやすいことなどが課題となっている。別府市でも、行政手続きの効率化に加え、観光需要を地域全体の経済価値へ還元する仕組みづくりが求められていた。
電通総研は、データを蓄積・仲介し、各種のスマートシティサービスを支える都市OSソリューション「CIVILIOS」と、自治体支援のノウハウを活用した。行政手続き、生活情報、地域経済に関わるサービスを集約する別府市公式アプリとして「ベっプリ」を構築した。
ベっプリは10月1日から一部機能を先行提供する。今後、防災情報やごみカレンダーなどの生活情報の一元化、行政手続きの電子化、デジタル情報誌、地域のインセンティブポイント「ゆけポ」などを順次追加・拡充する予定だ。
アプリは、利用目的に応じた3段階の共通ID認証を備える。防災情報やごみカレンダーの閲覧といった日常利用から、ポイントの蓄積・交換、給付金の申請、各種証明書の取得まで、利用場面に応じて画面表示を切り替え、アクセスを制御する。
認証連携には、パスワードに依存せず、スマートフォンの指紋や顔などを活用できる国際的なWeb認証標準規格「FIDO2」に準拠した仕組みを採用した。一度登録した氏名や住所などの情報を手続き時に自動反映する「ワンスオンリー」により、利用者は申請のたびに同じ情報を入力し直す手間を減らせる。
高齢者、障害者、外国人を含む幅広い利用者が使いやすいよう、電通総研グループのミツエーリンクスが画面と導線の設計に協力した。日本のウェブアクセシビリティ規格「JIS X 8341-3:2016」や国際規格「WCAG 2.2 AA」に配慮し、音声入力にも対応する。アプリ内には、獲得したマイルや保有するチケットを一目で確認できるウォレット機能も備える。
アプリ基盤には、コアモバイルが開発するデジタル地域通貨・決済プラットフォーム「エコプラ」を搭載する。ボランティア、健康づくり、行政手続きの利用などに応じて付与する「ゆけポ」をアプリ内で一元管理する。将来的には、他事業者のポイントなどへの交換や、加盟店での決済処理にも対応する構想だ。
利用の定着に向けた支援体制も整える。別府市の地域コミュニティに詳しい湯治ぐらしが、運営事務局の支援や地域事業者の利用開始支援を担う。NTTマーケティングアクトProCXと連携した統合サポートセンターでは、電話とメールによる問い合わせに対応するほか、生成AIを活用したチャットボットも用意する。
認知拡大に向けては、電通九州と連携し、市公式LINE、Web広告、地域メディアを組み合わせたプロモーションを展開する。電通総研は、システム構築に加え、プロモーション、デジタルデバイド対策、多角的な収益モデルの設計・運営支援までを一貫して担う。
今後は、アプリ上に蓄積される行動、消費、施策に関するデータをダッシュボードで可視化し、根拠に基づく政策立案(EBPM)に生かす。電通総研は、市民の利便性向上、観光客の回遊促進、地元事業者の収益拡大、行政運営の持続可能性を同時に高める「地域経営サイクル」の確立を支援する。