理研R-CCS、「富岳」管理ネットワークにAECケーブル採用 電力・配線工数最大50%削減

2025年11月10日21:52|ニュースCaseHUB.News編集部
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 理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)は、スーパーコンピュータ「富岳」の管理用ネットワーク基盤に、Credo社の「HiWire AECケーブル」を国内で初めて導入し、安定稼働を実現した。11月10日、HiWire AECケーブルの国内で唯一のディストリビュータ契約を締結するネットワンシステムズが発表した。今回の導入により、システムの長期的な安定稼働と省電力性を両立する基盤が実現。従来の光通信ケーブルと比較して、最大50%の消費電力削減と約50%の配線工数削減を達成した。この成果は、将来的にAIデータセンターや大規模AIプラットフォームの効率化、省電力化にもつながる見込みだ。

 世界最大級のスパコンである富岳は15万ノード規模を誇り、その安定運用のためには本体を支える高度な管理ネットワークが不可欠である。R-CCSは、この管理ネットワークのバックボーン部分の400G構築にあたり、従来のケーブルでは安定性不足、高速通信時の発熱や消費電力の増大、膨大な配線に伴う施工負荷・保守性といった課題に直面していた。

 そこで、管理ネットワークの長期的な安定稼働と省電力性を両立させる基盤を実現するため、HiWire AECケーブルの導入を決めた。HiWire AECケーブルは、銅線ベースのアクティブケーブルで、低コストかつ光モジュールよりも低消費電力で高い安定性を実現できる。R-CCSは、特殊な接続形態であるOSFP~QSFP-DDに対応している点、通常のDACケーブルと比較して細く柔軟性に優れ、設置性が高い点、光モジュールよりも低コストで導入できる点を評価した。また、トランシーバモジュールに搭載されるDSPチップの供給実績や、主要ネットワーク機器メーカーへのOEM供給実績など、信頼性に関する説明を受けたことも採用の決め手になった。

 ネットワンシステムズは、国内唯一のディストリビュータ契約に基づきCredo社とグローバルに連携し、富岳の管理ネットワークバックボーンで求められる400Gクラスの高速通信と特殊コネクタ要件に対し、技術選定力と導入実現力を活かした構成を提案。最新技術を迅速に導入するとともに、特殊仕様への調整を円滑に進めた。

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R-CCSネットワーク構成概要図

 HiWire AECケーブルは2024年7月の運用開始以来、フラップ(接続の不安定化)ゼロを達成し、高い安定稼働が実証されている。消費電力は従来の光通信ケーブルと比較して最大50%削減、配線工数は約50%削減された。

 理化学研究所計算科学研究センター 運用技術部門 専門技術員の野村氏は、「基幹ネットワークの400Gbps対応への刷新に伴い、近距離接続での低コストのDACケーブル採用を検討したが、太さや取り回しの課題から他のソリューションを模索した。その中でCredo社の製品を紹介され、特殊な接続形態にも対応していることを知り導入を決定した。導入後1年以上が経過しているが、HiWire AECケーブルは非常に安定して稼働しており、その品質と導入効果に大変満足している」と述べている。

ニュースリリース