住友電工がグループ全社規模のRAG基盤を短期間で構築

2025年3月10日10:29|ニュースCaseHUB.News編集部
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 住友電気工業が、住友電工情報システムが提供するエンタープライズサーチ「QuickSolution」を活用し、グループ全社規模の大容量RAG基盤を構築した。3月7日、住友電工情報システムが発表した。

 住友電工では生成AIの活用を積極的に推進しており、2023年10月にはグループ全社で安全にChatGPTを利用できる環境を整備した。しかし、利用が進むにつれ、各部門のユーザーから社内情報を生成AIで活用したいとの要望が寄せられ、社内情報に回答できる生成AIの環境が求められていた。

 住友電工では、以前からグループ全体の検索基盤にQuickSolutionを利用していた。そこでQuickSolutionの生成AI連携機能を活用することで、社内情報に回答できるRAG基盤を2週間で構築した。通常、RAGシステムは生成AIに連携するデータをクラウドなどにアップロードするが、QuickSolutionの生成AI連携はデータ保管場所を変更する必要がなく、迅速な構築が可能となった。

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住友電工グループRAG基盤の構成図

 今回のRAG基盤は、QuickSolutionの高精度な検索機能により絞り込まれた信頼性の高い社内情報が生成AIに連携されるため、正確な回答が得られる。また、QuickSolutionはアクセス権に基づき文書を横断的に検索・抽出できるため、複数のシステムに分散する数100TB規模の社内情報から、適切な権限に基づいた生成AIからの回答が得られる。さらに、連携先の生成AIに質問内容を学習させない設計となっており、個人情報や機密情報を含む質問が漏洩するリスクもない。

 RAG基盤の利用で、たとえば、ファイルサーバ(400TB)や文書管理システム(180万文書)などから横断的に必要な情報を抽出し、その内容に基づいた回答生成が可能になった。現在、このRAG基盤は住友電工グループの国内約4万人、海外を含めると約29万人が申請すれば利用可能となっている。これを活用することで、ナレッジの有効活用による生産性向上やDXの推進が期待されている。

 住友電工は今後も生成AIの活用を積極的に推進する方針であり、RAG基盤の改善を継続的に行う計画を掲げている。また、本基盤の情報源となるデータ対象の拡張も予定しており、QuickSolutionの検索と生成AI連携により実現したRAG基盤を最大限に活用し、情報探しの効率化と社内ナレッジの効果的な利用を推進することで、競争力のある組織を目指す。

ニュースリリース


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