キリンビールが、RTD(Ready To Drink)商品の処方開発業務の効率化と品質向上を目的に、NTTデータと共同で構築した処方管理システムの本格運用を6月から開始した。21日、両社が発表した。
食品・飲料業界では生活者ニーズの多様化や商品開発人材の不足が課題となっており、商品開発力の向上が求められている。キリンビールのRTD商品開発においても、複雑な処方設計や表示検討、複数回の試作が必要なため、情報管理と確認作業の煩雑さが課題となっていた。
今回導入したシステムは、処方開発情報をデジタルデータとして一元管理し、業務で利用する複雑なロジックをシステム化したものだ。これにより、処方開発業務の効率化とノウハウの形式知化、業務品質の向上を図る。キリンビールとNTTデータは、年間約2000時間の業務時間削減を目指している。
システムの特徴は、処方検討、試作、表示検討などの業務帳票を電子化し、データを一元管理することだ。これまで各帳票で共通利用していた処方情報(原材料・配合・製造条件)の変更時に必要だった複数帳票への転記と確認作業が不要になる。また、過去の検討情報をチーム横断で閲覧できるようにし、高度な技術知見の伝承に活用できるようにした。
さらに、配合検討や試作業務における計算ロジック、食品表示法や業界自主基準に基づく表示検討業務のロジックをシステム化。これにより、計算結果や数値、表示内容の確認作業時間を短縮し、商品開発業務の品質向上を図る。
キリンビールは、本システムの導入で創出された時間を、より良い商品を開発するための原材料探索や配合検討、技術探索といった高度な業務に充てることで、さらなる商品開発力の向上を目指す。
今後は、蓄積したデータと機械学習や生成AI技術などを組み合わせ、最適な原材料や配合の予測などへの活用も検討している。また、マーケティングから生産・販売までのバリューチェーン全体をデータでつなぎ、業務改革につなげることも視野に入れている。
ニュースリリースURL
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2024/062100/