出光興産、SAP ECC 6.0にリミニストリートの第三者保守活用で業務プロセスを改善

2025年9月8日21:57|ニュースCaseHUB.News編集部
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 出光興産は、基幹システムのSAP ECC 6.0に対し、リミニストリートの第三者保守サービス「Rimini Support for SAP」を採用した。9月8日、日本リミニストリートが発表した。SAP ECC 6.0のベンダーサポート終了を控えながらも、S/4HANAへの移行ではなく既存システムへの投資を継続することで、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる狙いだ。

 出光興産は、石油製造・小売などを手掛ける企業。2013年からリミニストリートと関係があり、Oracle EBSシステム向けに同社の第三者保守サービスを採用していた。今回は、2030年にベンダーサポートが終了予定のSAP ECC 6.0を対象に、同サービスの活用を決めた。

 同社は、SAP ECC 6.0が安定性と堅牢性を備えたミッションクリティカルなシステムであると判断しており、S/4HANAへの移行は行わない方針だ。代わりにリミニストリートの第三者保守サポートを活用することで、SAP ECC 6.0への投資を最大限に生かし、システムの寿命を延ばすことを決断した。

 今回のサービス採用により、ベンダーの都合ではなく自社のビジネスニーズを優先したIT戦略の推進が可能になる。出光興産は、製造業の縦割り構造から、小売業やサービス業を含む柔軟な構造への変革を目指しており、バージョンアップに必要な時間やコストをかけることなく、必要な機能を追加できる有利なポジションを築きたい考えだ。

 リミニストリートのサービスを活用した具体的なプロジェクトとして、同社は最近行った会計および報告体制の再構築を挙げている。既存のSAP ECC 6.0に機能を追加し再構築を進めたことで、データ品質管理や自動化が向上している。

 出光興産デジタル・ICT部次長の澤井孝義氏は、「SAP ECC 6.0の柔軟性こそが、OracleからSAPへ切り替えた理由だった。社内のイノベーションを加速し、業務プロセスのスピードと品質を向上させるため、システムを入れ替えるのではなく、その中核に機能を追加していくという戦略を取っている」と述べている。さらに、「リミニストリートのサポートにより、ベンダーの都合ではなく、自社のビジネスニーズを優先した判断が可能になった。リミニストリートの専門性があれば、ベンダーによるサポート終了の期限も問題ではない」と話している。

 同社は今後も、高度にカスタマイズされたSAP ECC 6.0環境の寿命を延ばし、リミニストリートと社内リソースによって適切に保守・コンプライアンスを維持する計画だ。澤井氏は、「SAPに関するあらゆる分野でのリミニストリートの技術的な専門知識は、私のチームがシステム要件に対応する力を広げるうえで大きな助けとなっている。今後もリミニストリートとのパートナーシップを長期にわたり継続し、ミッションクリティカルなシステムを常に利用可能な状態に保ちたい」とコメントしている。

ニュースリリース