SBI損保、AIパッケージで社内問い合わせ対応を効率化 特定の社員への集中を解消

2026年9月8日09:00|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 SBI損害保険は、社内の問い合わせ対応にPKSHA TechnologyのAI統合パッケージ「PKSHA AI FAQ Assistant」を採用した。9月7日、PKSHA Technologyが発表した。従来の一問一答型FAQでは対応が難しかった社内問い合わせを段階的な対話で解決できるようにし、特定社員への業務集中を解消する。定型的な対応をAIに任せることで、社内ヘルプデスクの対応力向上と従業員の業務効率化につなげる。

 SBI損害保険は、SBIグループの一員としてダイレクト損害保険事業を展開している。グループ全体で「完全なAIドリブン化」を推進する同社では、以前からナレッジの集約と共有を目的に「PKSHA FAQ」を活用し、社内の情報共有を進めていた。

 一方で、事業や業務内容の拡大に伴い、社内から寄せられる問い合わせは多様化および高度化していた。特に休暇制度のように利用者の雇用形態や取得事由によって回答が枝分かれする複雑な質問に対しては、一問一答形式のFAQだけでは目的の回答にたどり着くことが難しく、人事や総務など特定部門のベテラン社員に質問が集中する属人化が深刻な課題となっていた。社内の従業員からも、選択肢を段階的に絞り込みながら求めている答えに到達できる仕組みを求める要望が継続して寄せられていた。

 社内におけるAI活用の焦点がツールの配備から業務の定着や具体的な効果創出へと移行するなか、同社は課題解決に向けた新たな仕組みの検討に入った。そこで、すでに社内で定着していたPKSHA FAQを基盤として活かしながら、対話機能とナレッジ生成機能を拡張できるPKSHA AI FAQ Assistantの採用を決定した。

 同製品は、PKSHA FAQに加えて対話型AIの「PKSHA ChatAgent」と、ナレッジ自動生成ツールの「PKSHA Knowledge Stream」を連携させたAI統合パッケージサービスだ。採用の決め手となったのは、現場のニーズに応える分岐シナリオ機能の存在だった。汎用的な生成AIでは質問者が適切な検索キーワードを思いつかない場合に正確な回答を導くのが難しいが、分岐シナリオを活用すれば段階的な質問を通じて利用者を的確な解決策へと誘導できる。

 さらに、社内ドキュメントを取り込むだけでFAQを自動生成および更新できる機能や、追加した各ツールを既存のFAQ環境と同一の基盤上で一元管理できる保守性の高さも高く評価された。

 新体制の稼働により、社内ナレッジの作成、蓄積、利用という運用サイクルが確立された。従業員はキーワード検索で素早く調べたいときはFAQを閲覧し、具体的な解決策を対話で探したいときはチャットを利用するといった使い分けが可能になった。その結果、条件が分岐する複雑な問い合わせであっても、従業員が自身の操作で解決できるケースが増加している。

 稼働開始後、ヘルプデスク担当者への直接的な問い合わせ対応に要していた工数は目に見えて減少した。社内で定期的に実施しているアンケート調査でも、FAQに対して「内容がわからない」「わかりにくい」といった不満を示す回答が減少傾向にあり、従業員が自ら疑問を解消する業務習慣が着実に定着しつつある。

 SBI損害保険リスク・コンプライアンス部部長の木村奏子氏は、「目指すのは人をAIに置き換えることではなく、人間が的確に判断しAIを使いこなす組織の姿だ。FAQは単なる業務改善だけでなく、情報の正確性や部署間の整合性を担保するリスク管理の観点からも重要な役割を持つ。特定の社員に偏っていた負担が仕組みとして解消されつつあり、今後は定型業務をAIに委ねながら人が本質的な業務に集中できる環境を全社に広げたい」と語っている。

 同社は今後、「困ったときはまずPKSHA FAQを確認する」という行動様式を全社文化として定着させるため、画面デザインや掲載コンテンツの継続的な改善を進める。社内ナレッジの運用で培った知見を活かし、さらなる業務プロセスの高度化を図る。

ニュースリリース