京王SCクリエイションが運営する「京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター(SC)」は、人流分析AI SaaS「ミセシル」のレポートサービスを採用した。1月16日、ミセシルを提供するZeroが発表した。リニューアル計画における投資判断の根拠として、館内の回遊状況を定量的に把握するのが目的だ。データに基づいた戦略を立案することで、経営層による迅速な意思決定を支援し、施設全体の魅力向上につなげる。
京王線聖蹟桜ヶ丘駅に直結する同施設は、1日あたり約5万人が来館する地域密着型の大型商業施設だ。近隣での人口増加や居住層の変化に合わせ、現在は全館規模のリニューアル計画を進めている。その過程で、B館にある「百貨店エリア」と「専門店エリア」の間に設置された仕切りが、顧客の回遊を妨げているのではないかという仮説が浮上していた。しかし、仕切りを撤去して回遊を促すという戦略を裏付ける定量的なデータが不足しており、投資判断の根拠となる指標が求められていた。
ミセシルの採用にあたっては、同じ建物内であってもフロア間の移動やエリアごとの回遊を高い精度で抽出できる点を評価した。ミセシルは、約3000万人の位置情報やウェブ閲覧履歴、購買レシートデータなどを掛け合わせて分析するサービスで、自社施設だけでなく競合店や商圏の動向も可視化できる。
導入後の分析では、仕切りのないフロアと、エリアが分かれているフロアの回遊状況を比較した。その結果、仕切りがないことで東西の移動が活性化していることが数値で証明され、「仕切りをなくせば回遊が生まれる」という仮説の正しさが裏付けられた。このデータは経営層への説明資料として活用され、自社の実データに基づいた納得感のある提案ができたことで、改装に向けたスムーズな決裁につながった。
また、購買データだけでは把握が難しい「購入に至らなかった顧客」の動きも可視化された。特定のフロアが広域からの集客に寄与している事実などが判明したことで、リニューアルにおいて維持すべき強みの選定にも役立っている。依頼から約3週間という短期間でレポートが納品された点や、詳細なエリア区分などの追加リクエストに対する柔軟な対応も評価している。
今後は、リニューアル実施後の効果検証に人流データを活用していく方針だ。京王SCクリエイション営業推進部聖蹟桜ヶ丘事務所支配人の山路直氏は、「数字は嘘をつかない。見込みたい効果を定量的に説明できたことで、社内でも建設的な議論ができた。今後はフロア内の人流も定期的に追っていくべきだという意見が経営層から出るなど、意識の変化も感じている」としている。