濱田酒造、需給調整システムでSCM刷新 在庫13%削減しキャッシュフロー改善

2025年8月7日18:18|ニュースCaseHUB.News編集部
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 本格焼酎メーカーの濱田酒造は、販売計画から生産計画までの連携を強化し、在庫を適正化する目的で、フェアウェイソリューションズの需給調整・在庫適正化ソリューション「Φ-Pilot Series」を採用した。8月6日、同ソリューションを提供するフェアウェイソリューションズが発表した。導入後約4ヶ月で商品在庫を13%削減し、キャッシュフローを7000万円改善する効果を得ている。今後は生産日程計画にも同システムを拡張し、サプライチェーンマネジメント(SCM)全体の最適化を目指す。

 明治元年創業の濱田酒造では、営業部門が策定する月単位の販売計画と、製造部門が策定する週単位の生産計画が連携しておらず、計画期間の不一致が正確な需給予測を妨げる一因となっていた。焼酎には賞味期限がないこともあり、明確な在庫管理指標が不足。担当者の経験と勘に頼った運用がなされ、製品の売れ行きと関係なく一定量の在庫を抱え、結果として過剰在庫や滞留在庫が発生していた。これらの課題を解決するため、PSI(生産・販売・在庫)管理のシステム化を検討していた。

 システム選定の過程で参加したセミナーでΦ-Pilotを知り、「自社が目指す業務のあるべき姿がここにあると感じた」という。しかし、導入にあたっては社内の意識改革が課題だった。戦略推進本部経営管理部PSI管理課長の小畠氏は、「営業部門は単なる出荷予測ツールと捉え、消極的な姿勢だった。そこで、生産と営業をつなぐコミュニケーションツールであり、在庫調整は両部門の協力で最適化できると訴え、導入への合意を得た」と語る。

 Φ-Pilotの導入により、販売計画、在庫計画、生産計画がシステム上でシームレスに連携し、部門間の円滑な合意形成が可能になった。計画期間のタイムフェンスを週単位に統一したことで、生産計画の精度も向上した。また、在庫を日数で指標化して可視化したことで、商品の売れ行きに応じた適正在庫の管理が実現した。

 導入効果は具体的数値にも表れている。本稼働から約4ヶ月で、約6億円あった商品在庫を13%(金額換算で7000万円)削減。特に削減対象だった売上構成比の低いC群の在庫は27%減少した。在庫回転率も目標を上回る0.22ポイントアップを達成したほか、1年以上の過剰在庫は98アイテムから19アイテム削減できた。システムの異常在庫アラート機能が欠品や過剰在庫を事前に警告するため、注力すべき点が明確になり、需給調整業務が効率化している。

 この取り組みは、鹿児島県の「ものづくり中核企業生産革新支援事業」の補助金を活用しており、県内でも先進的な事例として高く評価された。濱田酒造は現在、Φ-Pilotの第二次システムとして「生産日程」機能の導入を進めている。戦略推進本部経営管理部長の村山氏は、「需給調整機能で算出された補充タイミングを生産計画にタイムリーに反映し、工場の生産性をさらに向上させたい。2026年1月の本稼働で、販売計画から物流計画まで一貫したシステムフローが本格的に回り始める」と今後の展望を語った。Φ-Pilotの導入により業務の属人化が解消され、後任への引き継ぎも円滑に進むと期待している。

ニュースリリース