SOMPOシステムズは、日本IBMが開発した「プロジェクト管理のためのAI」を活用したレポート自動生成機能の本番プロジェクトへの適用を2024年10月より順次開始した。11月5日、SOMPOシステムズと日本IBMが発表した。プロジェクト管理業務の自動化とデータの可視化により、現場から経営層まで、業務の効率化やリスク予兆の把握、適切な意思決定が可能になる。
SOMPOシステムズは、SOMPOグループのIT戦略会社として、各事業会社からITシステムの開発、保守・運用業務を受託している。近年、プロジェクト数が増大する中、プロジェクトの進捗状況の確認や報告作業において、各階層で課題を抱えていた。
プロジェクト現場では、データ集計やレポート作成が手作業で、主観的な評価・報告になる場合もあった。プロジェクト管理部では、各プロジェクトからの報告書の書式が異なり、全体評価資料を作成するうえで評価軸の統一や現場へのヒアリングに時間を要していた。経営層は、プロジェクト内容を精査する際に、報告書だけではリスク把握が不十分で、管理部や現場に詳細情報を直接確認する必要があった。
これらの課題を解決するために、SOMPOシステムズは、プロジェクト管理を効率的に進め、客観的な指標をもとに評価する仕組みを必要とし、日本IBMが提供するプロジェクト管理のためのAIを導入した。このAIは、プロジェクトごとにインプットされた既存の進捗報告書や各種管理表の読み込み、データ集計、レポート作成を自動化する。
AI導入で、各階層で報告先を考慮してカスタマイズする報告書作成の負荷が解消され、プロジェクト・マネージャーやPMOはプロジェクト成功に向けた管理や事前把握したリスク予兆への対応などに注力可能となった。同時に、各プロジェクトの状況が客観的に可視化され、複数のプロジェクトの進捗を俯瞰的な確認や、注視すべき案件の識別や詳細要因の把握が可能になった。これにより、現場から経営層までが同じ情報をもとに、リスク予兆の把握と適切な意思決定を迅速に行える。
SOMPOシステムズは、2024年1月からレポート自動生成の実証実験を開始し、さまざまな機能改善を経て、2024年10月より、本番プロジェクトへの適用を順次開始した。今後、SOMPOシステムズは日本IBMとともに、レポート自動生成とプロジェクト評価情報提供によるPMOの作業効率化と品質確保を進めていく。
また、全てのプロジェクトに展開し、プロジェクト管理文書等のデータを蓄積することで、新しいプロジェクトに取り組む際に類似プロジェクトを検索し、過去のプロジェクトからの気づきを反映させたリスクの回避や、過去のレビュー実績をもとに現在のプロジェクト品質を評価するなど、過去実績データに基づくプロジェクト品質評価と予測に取り組む予定だ。将来的には、プロジェクト管理のためのAIのチャットボットによる質疑応答機能も活用し、プロジェクト・マネジメント作業の品質向上と効率化を進めていく。