SOMPO、生成AIで介護の暗黙知を可視化 ABEJA支援で排泄ケア業務の負担軽減

2025年12月18日11:45|ニュースCaseHUB.News編集部
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 SOMPOホールディングスをはじめとするSOMPOグループは、介護現場における排泄ケア業務のDXを目的に、介護特化型生成AI「教えて!排泄ケア」の提供を開始した。機能構築の支援にはABEJAを起用した。12月17日、ABEJAが発表した。介護現場で負担の大きい排泄ケアを生成AIで支援することで、ケアの質の向上と職員の業務効率化を両立させ、業界全体の課題である人材不足の解消やサービスの底上げにつなげたい考えだ。

 少子高齢化に伴う介護人材の深刻な不足に直面するなか、介護事業所の経営安定化には業務効率化に加え、利用者のQOL(Quality of Life)とケアの質の向上の両立が喫緊の課題となっている。こうした背景から、SOMPOグループは、グループのSOMPOケアが持つ現場の知見を反映させた生成AIソリューション「教えて!KAiGO」を開発。その第一弾として、特に現場負荷が高い排泄ケア領域に特化した「教えて!排泄ケア」を構築した。

 今回提供を開始したサービスは、介護マニュアルや文献に加え、現場調査を通じて得られたベテラン職員の暗黙知を学習させているのが特徴だ。利用者の服薬情報や既往歴、日常生活動作などの断片的な情報から体調変化や課題の背景にある要因を多角的に分析し、具体的な対策を複数提案する。これにより、経験の浅い職員でもベテランのように広い視野で仮説を立て、適切なケアを検討できるようになる。

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教えて!排泄ケアの相談画面イメージ

 システムの構築にあたっては、ABEJAのAI導入基盤「ABEJA Platform」を活用した。生成AIが誤った情報を生成する「ハルシネーション」を抑制するため、RAG(検索拡張生成)技術を適用。SOMPOケアが保有する信頼性の高い内部データのみを参照して回答を生成する仕組みを整えた。また、お薬手帳やフェイスシートなど、書式が異なる書類から薬剤名や既往歴などの重要情報を抽出し、自動でテキストデータ化する機能も実装した。データの読み取り精度を担保するため、最終的な判断を人が担う「Human in the Loop」のアプローチを採用し、実用性を高めている。

 新サービスの導入により、介護記録業務における情報入力の負担が軽減されるほか、蓄積されたデータの汎用的な利活用が可能になる。SOMPOグループは今後、排泄ケア以外の領域にも「教えて!KAiGO」シリーズを展開し、介護業界全体のDXを推進していく方針だ。

ニュースリリース