大塚倉庫は、倉庫の安全性向上と業務品質の維持を目的に、IoTプラットフォーム「SORACOM」を活用したカメラと生成AIによる侵入検知システムを採用した。5月9日、SORACOMを提供するソラコムが発表した。
大塚倉庫は医薬品、食品、飲料、日用品などの物流を担い、「コネクテッド物流」の実現を掲げている。従来の「経験と勘」に頼らない高効率な倉庫・輸送業務オペレーションを目指し、デジタル技術の導入を積極的に進めてきた。全国の物流現場を東京本部でリアルタイムに可視化し、一元管理する仕組み作りを進める中、安全性と品質を高めるための新たな施策として、今回の侵入検知システムの共同開発に至った。
新システムは、倉庫内の複数箇所に設置したカメラで定期的に静止画を取得し、生成AIが不正侵入者とみなされる状況を検知した場合、倉庫管理担当者に即時通知する仕組みとなっている。従来は録画映像を必要に応じて確認していたが、リアルタイム通知により、倉庫のセキュリティと業務品質の向上が期待できる。
開発には、IoTアプリケーションをローコードで構築できる「SORACOM Flux」が活用された。これにより、自然言語で新たな検知条件を定義し、生成AIモデルのチューニングや拠点ごとの検知条件の変更が容易になった。SORACOM Fluxと既存の生成AIモデル(Google Gemini)を組み合わせることで、企画からわずか1カ月という短期間でシステム構築と概念実証(PoC)を開始。PoCでは、強化学習やファインチューニングといった事前学習を行わずとも、汎用的な生成AIのみで不正侵入者の検知が可能なことを確認した。
SORACOMの採用理由について、大塚倉庫は「倉庫の安全性向上と業務品質維持のため、情報が適切なタイミングで共有される不正侵入者検出の仕組みとして生成AIによる手法を検討していた。SORACOM FluxはAIモデルに渡す『服装』や『ヘルメットの着用の有無』といった詳細条件を自然言語で簡単に書き換えられる点が大きな決め手となった」としている。
導入プロセスでは、現場の要件に合わせた検知条件の柔軟な設定や、管理画面でのパラメーター変更が可能な点が評価された。今後は、カメラ画像と生成AIを活用した出荷作業解析による出荷ミス判定や防止など、さらなる業務品質向上にも取り組む。
大塚倉庫は「倉庫業界では、多様化し増え続ける荷物に対応するために、作業や施設を柔軟に変化させていく必要がある。デジタル化にあたっては、リアルタイムに状況が共有されることと、それにより業務の品質を保つことを重視している。生成AIを活用することで、状況に合わせた柔軟な調整や今後の用途拡張も期待できる。今後も先進技術を活用し、倉庫業界の課題解決に取り組んでいく」としている。
#関連キーワード
#OtsukaWarehouse #SORACOM #AI #IoT #WarehouseSecurity #DigitalTransformation #Logistics #GenerativeAI