SUBARUは、予防安全運転支援システム「アイサイト」のAI開発基盤として、「Dell PowerScale」ストレージを採用した。これにより従来型開発に比べ約1000倍に増加したファイル数への対応を実現した。デル・テクノロジーズが2024年2月1日に発表した。
SUBARUでは、「アイサイト」の従来型開発では主に動画データを用い、ファイル数は十数万点規模だった。新たなAI開発では静止画像データが用い、その数は数億~数十億規模のファイル数となる。2020年に設立したAI開発拠点「SUBARU Lab」では、次世代「アイサイト」のキーテクノロジーとなるAI開発を進める上でベースとなる膨大なデータをどのようにして保存、管理、活用するかが課題となっていた。
ストレージ選定では、大量データをシンプルに扱え、フォルダ構造もシンプルであることが求められた。1つのフォルダ内にできるだけ多くのデータ保存ができる必要があり、データ容量増加に対応できる拡張性や高い性能と信頼性も必須要件だった。
これらの要件を満たせる製品として採用されたのが、Dell PowerScaleストレージシステムだった。「PowerScale」は、エンタープライズのファイルワークロード向けに設計されており、柔軟で安全なスケールアウトネットワーク接続ストレージ (NAS) システムだ。拡張性や高性能機能に加え、クラスター内や拠点間でストレージを階層化する「SmartPools/CloudPools」機能もあり、物理的なストレージの設置場所を気にすることなくデータを活用できる。その上でデータ保存コストの最適化が図れる点も、採用理由となった。また、大量のデータの中から目的のデータを高速検索する「PowerScale」専用のデータ可視化ソリューションも評価された。
PowerScaleを採用したことで、従来型開発環境に比べ、約1000倍規模のファイル数に拡大したデータへのスムーズな対応を実現した。PowerScaleの自動階層化機能を活用し、性能要件とコスト要件を両立し、大量データの中から目的のデータを高速検索できる環境も実現した。また、これまで分断されていたSUBARU LabやSUBARU東京事業所の拠点間をまたぐデータアクセスが可能となり、開発業務にもメリットとなっている。
SUBARU技術本部ADAS開発部兼PGM(高度統合システム)SUBARU Lab副所長兼主査金井崇氏は、「AI開発の世界では、次々と新たな手法が生まれており、システムやストレージに対する要件も刻々と変化しています。これにシステムインテグレーションで対応していたのでは、相当な手間とコストが掛かってしまいます。その点、PowerScaleなら、本体機能と周辺ソリューションだけで多様なニーズに対応できます」と述べている。
ニュースリリースURL
https://www.dell.com/ja-jp/blog/subaru-ai/