TBSテレビ、映像メタデータ自動生成で番組制作の効率化と資産活用を推進

2025年5月1日16:43|ニュースCaseHUB.News編集部
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 TBSテレビは、映像素材の管理効率化とクリエイティブ業務への注力を目的に「Gemini 1.5 Pro」(および「2.0 Flash」)を採用した。Google Cloudが、4月16日に発表した。

 TBSテレビは、報道やドラマなど多様な番組制作のため、膨大な映像素材を保有している。これらの素材を活用する上で不可欠なのが、映像内容を説明するメタデータの付与作業だ。しかし、従来は専任スタッフが目視で内容を確認し、手作業でテキスト入力を行っていたため、作業負担が大きく、進行の遅延が慢性化していた。たとえば3分の映像に対し、メタデータ作成とチェックで約1時間を要し、100名近い人員を投入しても、オンエア後の素材整理には2~3週間かかる場合もあった。このような状況はTBSのみならず、放送業界全体の共通課題となっている。

 TBSでは、業務効率化の観点から生成AIの活用を模索していた。Google WorkspaceやGoogle Cloudを既に業務基盤に導入していたこともあり、2024年3月に生成AIの活用についてGoogle Cloudから提案を受けテスト利用を開始した。その時点でGemini 1.5 Proは、長尺映像の解析やマルチモーダル処理(映像・音声・テキストの統合分析)に対応しており、TBSが求める要件を満たす唯一のAIだった。TBSの担当者は「従来の生成AIでは難しかった大容量データの処理や、タイムスタンプ付きメタデータの自動生成が可能となり、まさに求めていたソリューションだった」と評価している。

 TBSではGoogle Cloudの支援のもと、映像素材をAIに読み込ませるテストを重ねた。AIによる解析結果を人間の作業と比較し、最適な運用手法を模索。映像・音声・テキストを個別に解析し、最終的に統合することで精度向上を図った。また、過去の画像やメタデータをAIに学習させるFew-Shot Learningを活用し、TBS独自のメタデータ表現や現場の検索ニーズに対応した。

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システム構成イメージ

 導入効果として、メタデータ作成に要する時間は従来の10分の1に短縮され、チェック作業を含めても全体で約3分の1の工数となった。これにより、映像収録後2~3週間かかっていた作業が5日程度まで短縮できる見通しとなった。さらに、タイムスタンプの自動付与やメタデータ内容の均質化など、人手では困難だった課題も解消された。2025年3月にはGemini 2.0 Flashへのアップデートも完了し、現在は安定運用が続いている。

 TBSは、Google Cloudの検索やAI活用機能を活かし、映像制作ワークフローのさらなる改善や、スタッフの負担軽減、クリエイティブ業務へのシフトを目指す。また、検索性の向上により、過去の貴重な映像資産の再発掘や新規コンテンツ創出にもつなげたい考えだ。担当者は「今回のプロジェクトは、TBSが掲げる『コンテンツクリエイティブの革新』や『コンテンツ価値の最大化を目指す拡張戦略』の推進にも寄与する」としている。

ニュースリリース


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