栃木県矢板市は、災害時の避難所運営を効率化するため、TDCソフトが開発した「避難所チェックインシステム」を導入した。9月12日、TDCソフトが発表した。
矢板市では、市民サービス向上と地域活性化を図るため、EBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)を推進すべく、データ連携基盤の構築を進めていた。その一環として、栃木県の地元IT会社のシステム興産を通じ、データ連携基盤システムの構築、運用に加え、データ連携基盤を活用した避難所チェックインシステムの開発をTDCソフトに委託した。
避難所チェックインシステムは、災害時に避難所へのチェックインをスマートフォンで行えるようにするシステム。避難所を運営する職員の事務負担を軽減し、防災データの共有、活用を促進する。
主な機能としては、避難者情報の登録、避難者情報の管理、リアルタイムな情報共有がある。避難者情報の登録では、氏名、住所、連絡先などの情報をスマートフォンから入力し、避難者情報を登録できる。避難者情報の管理では、登録された避難者情報を一覧で確認、検索、CSVファイルへの出力などが行える。リアルタイムな情報共有では、避難者数の推移や避難者の属性などをリアルタイムに把握し、市本部などとの情報共有をスムーズに行える。
今回開発した避難所チェックインシステムの特徴は、スタンドアロンでの動作、簡単な操作性、低コストでの導入となる。スタンドアロンでの動作は、災害時でも電源やネットワークが遮断されている状況を想定し、シングルボードコンピュータのRaspberry Piを採用し実現した。簡単な操作性では、スマートフォン側に特別なアプリケーションのインストールをせず、QRコードを読み込むだけでチェックインが可能となっている。低コストでの導入は、Raspberry Piの採用で、ハードウェアコストを大幅に削減し、多くの避難所に導入しやすくした。
避難所チェックインシステムの導入で、避難者管理の効率化、的確な状況把握、二次被害の防止、市民サービスの向上が期待される。矢板市生涯学習課スポーツ推進室の川上将司氏は「今回のプロジェクトにおいて、システム興産ならびにTDCソフトにはデータ連携基盤システムを始め、避難所チェックインシステムの開発を支援していただき、大変感謝しています。本システムは災害時の避難者管理を効率化し、市民の安全確保に大きく貢献してくれると確信しています」と述べている。