三菱UFJ eスマート証券がオブザーバビリティ基盤で障害対応を向上

2025年3月26日23:34|ニュースCaseHUB.News編集部
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 三菱UFJ eスマート証券は、事業の成長と顧客口座数の増加が続く中、システム障害の検知・対応能力の向上を目的に、New Relicのオブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」を導入した。3月26日、New Relicが発表した。

 三菱UFJ eスマート証券は、「auカブコム証券」としての事業展開を経て、2025年2月に三菱UFJ銀行の100%子会社となり現社名に変更した。「au経済圏」におけるネット証券の役割を担いつつ、MUFGとの連携を強化し、さらなる成長を目指している。

 同社では、ネット証券事業の中核である「新スマホシステム(現「三菱UFJ eスマート証券アプリ」のシステム)」をはじめとしたシステムを提供している。2023年には、取引開始時刻の午前9時に新スマホシステムで障害が発生したが、複雑なシステム連携により、従来のログ中心の監視では原因特定に時間を要した。この経験から、システム状態の可視化と属人性の排除が喫緊の課題となり、オブザーバビリティプラットフォームの導入検討に至った。

 複数のツールを比較検討した結果、豊富な機能とシンプルな料金体系が決め手となり「New Relic」が選定された。特に、本番環境だけでなく開発用の多数のステージング環境も同様に観測したいというニーズに、ユーザー数やデータ転送量に基づいた料金体系が同社の環境に適していた。

 2023年11月にPoC(概念実証)を開始し、2024年2月に本格導入に至った。当初は新スマホシステムのみが観測対象だったが、その後、投資情報ツール「kabuステーション」や法人向けAPIサービス「kabu.com API」にも拡大している。

 導入の第一段階として、システム技術者へのシステムの見える化を目標に掲げ、「ベーシックユーザー」ライセンスを活用し、開発・運用に関わる全技術者が共通のプラットフォームでシステムの状態やログを自ら確認できる環境を構築した。従来、問題発生時には開発チームから基盤グループへのログ確認依頼が標準的な流れであり、初動の遅れが課題となっていたが、この体制により早期対応を目指す。また、これまで外部に委託していたシステムの外形監視も「New Relic Synthetics」に置き換え、社内で効率的に完結できるようになった。

 三菱UFJ eスマート証券 システム技術部 基盤グループ グループ長 池浦將登氏は「今後は、お客様向けに提供する全てのシステムや新スマホシステムなどにつながる多種多様なシステムに、New Relicによる観測対象を広げていく予定です。最終的には1つの画面を通じて『システム上のどの処理が障害の原因になっているか』『どの処理がパフォーマンスのボトルネックになっているか』を突き止められるようにする計画です」と語る。

 同グループの土屋開氏は、New Relic導入の効果として、開発技術者が基盤グループの助けなしにログを取得できるようになった点を挙げ、システム状態の把握が容易になったと評価する。また、New Relicの社内勉強会を定期的に開催し、技術者による活用を推進している。今後は、障害の早期発見に向けたアラート活用を進め、最終的にはシステムのユーザー体験(UX)の維持・向上に貢献することを目指しており、顧客が気づく前にUX低下につながる事象を検知できる体制をNew Relicの活用を通じて実現したいとしている。

ニュースリリース


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