Vポイントマーケティングは、会員ごとに最適化したOne to Oneマーケティングの推進に向けたシステム基盤として、「Agentforce Marketing」を採用した。6月19日、同製品を提供するセールスフォース・ジャパンが発表した。AIエージェントを活用し、1.3億人の会員に対して年間30億通規模で個別最適化されたコミュニケーションを図る。シナリオ型配信への移行を進めた結果、メール開封率が最大80%に達するなどの成果を既に上げているという。
共通ポイントサービス「Vポイント」を運営するVポイントマーケティングは、2026年4月に現在の社名へ変更し、提携企業とのアライアンスを生かしたマーケティングを進めている。有効会員数1.3億人、年間アクティブユーザー約6200万人という巨大な基盤を持つ同社は、日々発生する購買データやポイント変動などの大規模データを安全に処理し、タイムリーな個別コミュニケーションを行う仕組みをいかに構築するかが課題だった。
その具体的なソリューションとして、複数のマーケティングオートメーション(MA)ツールを比較検討した結果、Agentforce Marketingの採用を決めた。大規模データの処理性能と拡張性に加え、サービスの根幹である高水準のセキュリティを評価した。基幹システムとの間で必要なデータのみを連携させる、柔軟な仕組みを構築できる点も決め手となった。
採用後は約7カ月間の概念実証(PoC)を実施。既存の一斉配信と並行し、全体配信量の約30~40%をAgentforce Marketingによるシナリオ型配信へと段階的に移行している。新規会員向けや離脱防止などのシナリオでテストを重ね、PoC期間中だけで100~120本を設計した。取り組みの当初はMAツールの専門知識が限られていたが、パートナー企業との連携とAIエージェントの活用によりノウハウを蓄積。現在では常時50~100本超のシナリオと600本以上のメールコンテンツを、少数精鋭のチームで内製運用している。また、アプリのマイページに、会員ごとに最適化された情報をリアルタイムで表示する仕組みも構築している。
Agentforce Marketingの導入後、ユーザーごとに最適化したコミュニケーション施策によって、メールの開封率は最大80%に達した。また、AIエージェントによるMA施策を実施したユーザー群は、未実施の群と比較してクリック率に最大20~30ポイントの差が出るなど、コミュニケーション設計の精度向上が成果に直結することを確認しているという。
今後は、アプリやウェブサイト上の顧客体験をさらに高めるため、興味や保有ポイントに応じたパーソナライゼーションの高度化を進める。多数のシナリオとコンテンツを高速かつ継続的に改善するため、AIがシナリオの叩き台を作成して人が判断するという運用体制の構築も目指している。
VポイントマーケティングVポイントバリューグロース部の清水大志氏は、「少数精鋭のチームでも大規模なマーケティング施策を内製で推進できる体制を構築できた。今後は、AIがシナリオ作成や運用を支援し、人がビジネスモデルや顧客の理解に基づく意思決定を担う形へと進化させていきたい」と話している。