四国電力が、「Menlo Security」を採用し、Web利用環境を刷新した。2025年1月31日、マクニカ 三井情報、メンロ・セキュリティ・ジャパンが発表した。
四国電力は、電力小売事業や発電事業を展開しており、近年は事業の多角化を進めている。2019年にセキュリティ対策としてVDI(Virtual Desktop Infrastructure)を導入したが、利用者の増加に伴い、レスポンスの遅延やシステムトラブルが頻発し、業務に支障が出ていた。特に、コロナ禍以降はWeb会議の増加でリソース不足が顕著になり、朝9時以降はWebサイトへのログインが困難になるケースもあった。また、VDI環境では、Web利用時にまずVDIにアクセスし、そこからブラウザを起動する二度手間が発生していた。さらに、オンプレミス環境のため、リソース増強にはハードウェアの調達や設置場所の確保が必要で、メンテナンスの負荷も大きかった。
これらの課題を解決するため、四国電力はVDIに代わるシステムを検討、クラウド型のMenlo Securityを選定した。選定の決め手は、同製品が大規模ユーザーでの豊富な実績がある点と、クラウドサービスのため、リソースの柔軟な調整が可能である点だった。Menlo Securityは、ネットワークから分離されたプラットフォームを経由することで、インターネット上からマルウェアなどを含まない安全な情報だけをユーザー側に転送する仮想ブラウザソリューションの仕組みだ。
導入にあたっては情報システム部で検証を行い、その後、本社、グループ会社へと順次展開した。システム子会社であるSTNetが、三井情報の協力を得て導入作業を実施し、2024年9月にグループ11社、約13000ユーザーへの展開を完了した。
Menlo Security導入の結果、レスポンスの遅延は完全に解消し、Web利用時のストレスが軽減された。たとえば、台風接近時など、多くのユーザーが同時に気象情報を確認する際にも、アクセス集中による接続不良はなくなった。また、VDI環境ではファイルをダウンロードする際に、VDI環境に一度保存してからコピーする必要があったが、Menlo Security導入後はWebから直接ダウンロード可能となった。システム部門への問い合わせ件数も減り、運用負荷も軽減している。
四国電力は、今回のシステム刷新について「既存のVDIでは、ブラウザを立ち上げるまでに30秒程度を要していた。その30秒×利用者数と考えると、毎日かなりの時間を無駄にしていたことになります。これが解消されたことで、ストレスなく業務を行うことができるようになり、生産性も向上した」と述べている。四国電力は今後、ゼロトラストへの対応も視野に入れ、セキュリティ対策を検討していく。現在は複数の製品で行っているセキュリティ対策をMenlo Securityに統合することも視野に入れている。