第四北越銀行は、Web口座開設時や登録情報変更時の本人確認に、ポラリファイの電子本人確認(eKYC)サービス「Polarify eKYC」を採用した。また、eKYC後の本人確認書類の目視チェックではネクスウェイの「本人確認BPOサービス」を利用する。12月25日、ポラリファイとネクスウェイがそれぞれ発表した。厳正な本人確認と手続きの簡単さを両立するとともに、審査完了までのリードタイムを短縮し、顧客の利便性を向上させるほか、第四北越銀行側の本人確認業務の負荷やコストも削減する狙い。
従来、同行はWeb口座開設の申し込みなどにおける非対面取引時の本人確認で複数の課題を抱えていた。写真撮影や情報入力などの煩雑な操作を利用者に強いるかたちになっていたほか、本人確認完了までに数時間から半日程度の時間を要しており、途中で離脱してしまう利用者も少なくなかったという。第四北越銀行側でも本人確認業務への対応コストが膨らみ、なりすましによる不正申し込み対策にも課題があった。
そこで、本人確認を簡素化して顧客の利便性を向上させるとともに、厳正な本人確認と本人確認業務の事務コスト削減を実現する仕組みとして、Polarify eKYCと本人確認BPOサービスの導入を決めた。
富士キメラ総研の調査によれば、Polarify eKYCは2023年のeKYC市場で金額ベースのシェアが1位。高精度な生体認証技術により顔画像の一致確認のための目検が不要になるという。ポラリファイは三井住友フィナンシャルグループ、アイルランドのDaon社、NTTデータの合弁で設立され、三井住友フィナンシャルグループの要件を満たすセキュリティ基準と安定稼働実績も強みとしている。
第四北越銀行はPolarify eKYCの導入により、本人確認資料と顔写真を高精度かつリアルタイムにチェックできるようになり、不正申し込み対策を大幅に強化できると見込む。また、本人確認資料撮影時のオートシャッターや、OCRによる氏名・住所などの自動入力も実現し、顧客の操作負担も軽減できるとしている。
一方、本人確認BPOサービスは、犯罪収益移転防止法(犯収法)に対応した本人確認業務のアウトソーシングサービスで、金融機関など300社以上に採用されている。Polarify eKYCとはシステム連携しており、本人確認業務をワンストップで完結できる仕組みと体制を構築できるという。
導入後は、本人確認書類の目視・突合チェックを数分程度で完了できるようになり、審査完了までのリードタイムを大幅に短縮し、UX向上につなげる。また、本人確認業務に割いていた人的リソースをコア業務にシフトさせたい意向だ。
第四北越銀行は両サービスの採用について「多くの大手金融機関との取引実績に基づく安心感と導入に至るまでの支援を評価し採用に至った」とコメントしている。また、政府は犯収法における本人確認手法をJPKI(公的個人認証サービス:マイナンバーカードのICチップに記録された証明書を利用する本人確認の手段)に一本化する方針を打ち出しているが、両サービスがJPKIに対応している点も採用を後押しした。