第一生命経済研究所は、鈴与シンワートの支援によりエンタープライズ向けのCMS製品を導入してWebサイトをリニューアルし、訪問者のユーザビリティ向上と情報発信の迅速化を実現した。9月25日、鈴与シンワートが発表した。Webサイトリニューアルから約4年半が経過し、PV(ページビュー)数は約6倍に増加したという。運用を内製化したことで業務効率も向上し、メディアからの取材増加といった波及効果にもつながっている。
第一生命経済研究所は、第一生命グループのシンクタンクとして、経済や金融、社会保障、ライフデザインなど幅広い分野の調査・研究を手がけ、年間1800本におよぶレポートをWebサイトで無償提供している。リニューアル前のサイトでは、情報発信がPDF形式のみだったため、多くの課題を抱えていた。具体的には、スマートフォンなどのモバイル端末に表示が最適化されず、SEO(検索エンジン最適化)にも弱くPV数が伸び悩んでいた。また、サイトの検索性や回遊性が低いことや、運用を外部に委託していたためメンテナンスに時間がかかる点も課題だった。
こうした背景から、同研究所はサイトのリニューアルを検討し、2019年7月頃にCMSの選定を開始した。選定にあたっては、まずセキュリティポリシーの観点からWordPressなどのオープンソースCMSは採用せず、エンタープライズ向け製品に絞り込んだ。その上で、レポートをカテゴリ別や執筆者別などでリアルタイムに検索できる機能を実装するため、静的CMSではなく動的なCMSの採用を決定した。システム構築を担うベンダーとしては、CMSメーカーからの推薦や、機能、納期、コストといった要望への対応力を評価し、鈴与シンワートを選定した。
新サイトは2020年7月に開発を開始し、2021年4月に本番リリース。リニューアルにより、PV数は導入後4年で約6倍に増加した。レスポンシブ対応によってスマートフォンからの閲覧者が増え、ユーザー層の拡大につながったほか、Webページごとの高度なアクセス分析も可能になったという。
業務効率も大幅に改善された。従来は1時間半ほどを要していたレポートの入稿から公開までの作業が、専用の入稿画面の開発やマークダウン形式での入力により、30分程度に短縮されたという。また、従来は外部委託していたサイトの更新や管理を内製化したことで、ページの修正などを迅速に行えるようになった。
サイトのPV数向上や露出拡大は、メディアからの取材やテレビ・ラジオへの出演、講演会の増加といった波及効果も生んでいる。今後は、生成AIのWebサイト管理への活用など、最新技術に関する提案に期待を寄せているという。また、将来的なサイトリニューアルに向けて、鈴与シンワートとノウハウを共有し、効率的な開発を目指したい考えだ。