Workthy、新NISAデータ連携にコンテナ版HULFT採用 870万口座の処理効率化

2025年12月10日17:47|ニュースCaseHUB.News編集部
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 Workthyは、金融機関向け「NISAクラウドサービス」におけるファイル連携基盤として、セゾンテクノロジーの「HULFT10 for Container Services」を採用した。12月10日、セゾンテクノロジーが発表した。金融機関からニーズの高いファイル連携ミドルウェア「HULFT」に対応することで、約870万口座に及ぶ新NISA情報の安全な連携体制を整備した。AWS上のコンテナ環境で稼働させることで、サーバーレスによる運用負荷の軽減と、短期間での環境構築につなげている。

 Workthyは、プロセス最適化支援やシステム開発を手掛けるIT企業。金融機関向けには、国税庁認定のクラウドサービスであるNISAクラウドサービスを提供している。2024年から開始された新NISA制度に伴い、金融機関は26年1月以降、国税庁に対しNISA口座の買付(簿価)残高などの情報を提供する必要がある。NISAクラウドサービスは、この情報提供業務を支援するプラットフォームだ。

 同サービスにおける金融機関とのデータ連携について、Workthyは当初、SFTPプロトコルを用いた複数の接続形態を整備していた。しかし、サービスの利用を検討する多くの金融機関から、長年の実績があり信頼性の高いHULFTを用いたファイル連携を求める声が寄せられた。これを受け、同社はHULFTの採用検討を開始した。

 採用にあたっては、HULFTがクラウドネイティブな環境に対応している点を高く評価した。従来のHULFTにはレガシーなオンプレミス製品というイメージがあったが、HULFT10 for Container ServicesはAmazon Web Services(AWS)上のコンテナオーケストレーションサービスで稼働可能であり、同社のクラウドサービス基盤や開発環境と親和性が高かった。また、データ保管先であるオブジェクトストレージ「Amazon S3」へ直接ファイルを連携できる点や、AWS CloudFormationのテンプレートを利用することで約20分という短時間で環境構築が完了する点も決め手となった。

 導入の結果、運用面でのメリットが生まれている。起動タイプとして「AWS Fargate」を選択したことで、サーバーレスでのコンテナ実行が可能となり、フルマネージドサービスのような感覚で運用できる。また、金融機関との接続調整も円滑化した。SFTPを利用する場合と比較して、セキュリティに関する説明や手順の確認が簡素化され、疎通テストなどの工数も削減されている。

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HULFT10 for Container Servicesを活用したNISAクラウドサービスの構成図

 2025年3月末時点で新NISA口座を管理する金融機関は約800行あり、その半数弱がWorkthyのNISAクラウドサービスを採用する予定だ。このうち約3分の2がHULFT経由での連携を選択する見込みで、新NISA口座全体の約3分の1にあたる約870万口座の情報が、HULFT10 for Container Servicesを通じて連携されることとなる。現在は2026年1月の本格稼働に向け、金融機関との連動テストが順次進められている。

 Workthy 開発部プロジェクト開発リーダーの中村圭輔氏は、「HULFTにはレガシーで手間がかかるという先入観があったが、実際にはAWS上で即座に構築でき、運用負荷も極めて低いモダンなソリューションだった。金融機関からの信頼も厚く、セキュリティ面の調整もスムーズに進むため、サービス実装までのスピードはSFTPに比べて圧倒的に速い」と話している。

 今後は、行政や金融分野の異なるプロジェクトにおいてもHULFTの活用を検討していく方針だ。今回蓄積したノウハウを若手エンジニアにも共有し、技術力の底上げとビジネスの拡大につなげたい考えだ。

ニュースリリース