日産アークは、Sigray社製のマイクロX線CT顕微鏡「ApexXCT-150」を国内で初めて導入した。2024年11月26日、キヤノンマーケティングジャパンが発表した。ApexXCT-150は、大型サンプルを高解像度かつ迅速に非破壊観察できることが特徴で、日産アークは全固体電池や半導体などの解析業務に活用していく。
日産アークは、高度な分析と提案型の解析で企業活動を支援する企業である。近年、電気自動車用バッテリーとして注目されている全固体電池や次世代半導体の需要増加に伴い、故障解析や研究開発における非破壊分析のニーズが高まっている。特に、10㎝程度の全固体電池内部の微細な亀裂や、数十センチ程度の半導体基板における微小な欠陥など、より大型なサンプルの解析が求められるようになり、日産アークでは新規CT装置の導入を検討していた。
しかし、従来のCT装置では、高解像度で撮像するためにはサンプルを小さくする必要があり、大型サンプルの観察には不向きだった。また、大型サンプルに対応できるCT装置は存在したものの、解像度が不足する課題があった。
日産アークがApexXCT-150を導入した理由は、大型サンプルでもサブミクロンの空間分解能で観察できる点にあった。一般的なCT装置では0.5μmの分解能で撮像するためにはサンプルを1㎜程度に小さくする必要があるが、ApexXCT-150は最大300㎜φのサンプルまで0.5μm分解能で観察できる。そのため、全固体電池や半導体基板などを非破壊で、高コントラストかつ高空間分解能で観察することが可能となった。