YKKは、世界で展開するファスナーなどのファスニング事業のコンプライアンス監査業務を支える基盤として、ServiceNowの「ServiceNow IRM」を採用した。7月29日、ServiceNow Japanが発表した。国内外のグループ会社約50拠点の監査データを一元管理する環境を整え、監査工数の5割削減や経営層への迅速な状況報告を目指す。
YKKは独自の「YKKグローバルコンプライアンス基準(YGCC)」を制定し、世界各国のグループ会社を対象に内部・外部監査を実施している。YGCCは労働条件や安全衛生、環境、公正な事業慣行など6分野のチェック項目で構成され、運用や監査、報告業務はサステナビリティ推進室の少人数チームが担う。
従来は主要約50拠点に対し、表データを電子メールで送付して回答を回収し、手作業で集計していた。単年単位のデータ管理にとどまり、過去データの比較や拠点間の横断的な分析が難しい状況だった。毎年更新される基準への対応や業務の高度化に伴い、効率的な運用体制の整備が課題となっていた。
同社はRPA活用やスクラッチ開発も検討したが、欧州のCSRDをはじめとする非財務情報開示の高度化や第三者保証への対応を見据え、SaaSの活用を選択した。グローバル基準への対応力、厳しいセキュリティ基準への適合、多言語対応などを評価し、ServiceNow IRMを選定。2024年11月に稼働を開始した。
新基盤の稼働により、セルフチェックの配布や回収業務をWeb上で完結する運用へ移行した。データの一元化と即時集計、可視化が可能となり、改善計画の進捗を含めた一貫管理を可能にした。質問項目を約3割削除して整理したほか、一部でリモート監査も導入し、監査工数を約50%削減する見込みだ。ダッシュボードの活用で資料作成を行わずに経営層へ報告できる体制も構築した。
今後は海外製造拠点で取得している評価データ「Higg Index」の統合を進め、サステナビリティ推進を強化する。各国の法改正に伴うYGCC改定業務の効率化に向け、AI機能の活用も視野に入れる。