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大丸松坂屋百貨店、Zendeskで問い合わせ対応を効率化し顧客満足度と業務品質を向上
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大丸松坂屋百貨店は、コンタクトセンターの業務効率化と顧客満足度向上を目的に、Zendeskを中心としたCRMソリューションを導入した。2025年6月26日、Zendeskが発表した。
大丸松坂屋百貨店はコロナ禍にオンラインストア利用者が急増し、それに伴い問い合わせ対応力を強化したかった。従来の運用では、電話とメール対応が中心で、応対履歴や引き継ぎは紙で管理されていたため、作業の煩雑さや情報の紛失リスク、データ集計・分析の非効率性が顕在化していた。
これらの課題を解決するために、同社は2022年8月にZendeskを導入した。これにより問い合わせ情報の一元管理と、Amazon ConnectやECサイトの顧客受注情報との連携を実現した。ZendeskとAmazon Connectの連携で電話対応の効率化が進み、従来は1日あたり40件から1000件以上に及ぶ問い合わせの履歴管理や情報共有がデジタル化された。オペレーターは直近の会員情報や注文情報に即時アクセスできるようになり、通話時間が大幅に短縮。電話に出てすぐに顧客名を確認できるなど、サポート品質の向上も実現した。
Zendesk導入の効果はデータにも表れている。全問い合わせに占める電話の割合は76.8%から70.4%に減少し、1件あたりの処理時間は約5分の1に短縮している。有人チャットの利用は50%増加し、顧客満足度(CSAT)は87.88%に向上した。さらに、KPIの可視化が進み、業務委託先や社内関係部門と具体的な改善策を共有できるようになった。問い合わせ対応履歴の相互連携により、社内での情報共有も円滑化している。
業務改革はZendeskの標準機能を活用し、従来のワークフローを大きく変えることなく実施された。オペレーターは短期間で新システムに慣れ、現場では使い方の工夫を共有する動きも生まれた。現場の雰囲気も一変し、以前のように電話がひっきりなしに鳴る状況から、落ち着いた職場環境に変化した。
同社は、さらなる業務効率化とCSAT向上のため、プロアクティブメッセージやAIの活用にも着手している。たとえば、3Dセキュア導入時の決済エラーや注文時の誤操作に対し、能動的に注意喚起するメッセージを表示し、自己解決を促進している。IVR(自動音声応答)へのSMS連携も取り入れ、チャネルシェアの平準化と応答率向上も図っている。
AI活用の一例としては、Amazon Connect Contact Lensによる通話内容の自動文字起こしと、Amazon Bedrockを用いたリアルタイム自動要約がある。これにより、通話応対後の記録作業が大幅に削減された。さらに、生成AIで顧客の声から重要キーワードを抽出し、マーケティングやサービス改善への活用も検討している。
今後は、有人対応とAIチャットボットを組み合わせたハイブリッド運用や、カスタマーハラスメント対策としてのAI音声対応の導入も視野に入れている。大丸松坂屋百貨店は、VOC(顧客の声)を基盤とした堅実な改善を続ける。
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