オイルレスベアリングメーカーのオイレス工業は、自動車軸受事業部で顧客関係管理(CRM)ツール「Zoho CRM」を採用した。国内外10拠点の営業力強化と業務効率化を図る。9月11日、Zoho CRMを提供するゾーホージャパンが発表した。これまでExcelで管理していた顧客・案件情報を一元化し、属人化していた営業ノウハウの共有や拠点間のリアルタイムな情報連携を進める。
同社自動車軸受事業部では従来、Excelで顧客・案件管理を行っていた。しかし、ファイルが担当者ごとに散在し、過去の活動履歴が組織的に蓄積されないなど、情報の属人化が深刻な課題となっていた。また、国内外に広がる営業拠点間の情報共有は月次報告に限られ、リアルタイムな状況把握が困難なため、戦略的な営業活動の立案や拠点間の連携に支障が生じていたという。
こうした課題を解決するため、同社は2023年からCRMの選定を本格的に開始した。複数の製品を比較検討し、Zoho CRMの導入を決定。データ分析ツール「Zoho Analytics」をはじめとする55種類以上のZohoアプリケーションとの連携により将来的に活用の幅を柔軟に広げられる拡張性に加え、導入から運用まで日本語によるサポート体制が整っている点が決め手になったという。スモールスタートが可能で、事業の成長に合わせて拡張できるコストパフォーマンスと柔軟な価格体系も評価した。
現在、同事業部では国内5拠点、海外5拠点(中国、アメリカ、タイ、インド、ドイツ)の営業部門のコアシステムとしてZoho CRMとZoho Analyticsを活用している。「見込み」「引合い」「量産中」という製造業特有のプロセスに合わせた3段階のパイプラインを構築し、複雑な案件の進捗状況を担当者間で視覚的に把握できるようにした。
これにより案件情報が一元化され、担当者不在時でも過去の経緯をすぐに確認できるなど、円滑な顧客対応が可能になった。また、自動通知機能を活用して納期や提出物などの重要タスクを管理することで、納期遵守の徹底にもつなげている。さらに、Zoho Analyticsで個人目標や予実を可視化したことで、管理職からは「数字を意識する文化が根付き、前向きな意識変化が起きている」との声が上がるなど、組織全体の意識改革と組織力向上に貢献しているとしている。